第2話


トランス状態?

そんな感じにイカレていた僕達は、銃を捨て剣を抜き、雄たけびをあげながら、相手の兵隊たちに立ち向かって行った。

そこに微塵も、疑問などを抱く隙間もなかった。


「ぐぁっ!!」

あっと言う間の出来事だった。

ボリスに、弾に当たったのだ。

「ボリス!!」

「兄さん!!」


僕とユーリイは、すぐさまボリスの元へ駆け寄った。

「しっかりしてくれ!」

「兄さん!兄さん!!」

大量の血を吐くボリスは、本当に苦しそうだった。


「ボリス!今、医者を!」

僕が立ち上がった時だった。

ボリスが、僕の腕を掴んだ。


「…止めるんだ。早く、安全な場所へ逃げろ…」

それは、命の灯が消えようとしていると言うのに、尚も僕達を気遣う、ボリスの優しい言葉だった。

「…こうしていれば、直に…おまえ達も…狙われる…早く…早く……逃げるんだ………」

苦しい呼吸の中で、そう言いきるボリス。

僕は、そんなボリスに、どうしても生きてほしい、そう思った。


「ボリス…あなたが死ねば、ユーリイはどうするんだ。」

側にいたユーリイが、涙目で顔を上げる。

「…エレナはどうするんだ!!」


僕だって、僕だって…

ボリスを失えば、どうやって生きていけばいいか、わからなかった。

「…ナウム。」

ボリスは、最後の力を振り絞って、僕の頬に触れてくれた。


「ナウム、悲しむんじゃない。僕はただ、あの島の土に還るだけだ。」

僕の目からは、涙が止めどなく流れた。

「…早く行け!そして振り返るな。」

「…ボリス。」

「行け!!」

力なく押された僕は、ユーリイは連れて、基地へと走った。

そして間もなく……




戦争は終わった。

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