第2話 パーティ開始

 十三時、パーティ開始。三十人の男女、男十五人、女十五人ずつの計十五分のトークタイムが開始される。それが終わったら、グループトークが始まり、最終的にどの番号の人が良かったのかを紙に書いて、そこからまたトークをして、意気投合すれば、万々歳である。

 彼女は燃えていた。失敗すれば、婚期が遅れるどころか、悪魔に魂まで奪われてしまう。だから、何が何でも負けられないのだ。

 一人目の男性とのトークが始まった。マスターベーション魔法、発動。

 会話に集中しつつも、合間合間に相手の股間をのぞき込むという端から見たら変態じみた行動だが、本人はなりふり構っていられなかった。

 ちなみにこの男性はと言うと。

 う~ん、よくよく見たら、ほんの少し膨らんでいるかな? でも、それって一種の社交辞令的みたいなアレなのかな。まぁ、言ってもまだ一人目だし。気長に待ちましょうか。

 結局、十五分まるまる使っても彼の股間の状態は平行線を辿ったままだった。


 ちょっと待ちなさいよ。何でそんなデカい体してるのに、そっちは小さいままなのよ。胸でも尻でも触らせてあげるから、屹立しろっーの。

 ちょうどトークタイムの三分の一を過ぎても来る男性のあれは小さいままだった。

 最初こそは、しょうがないと言っていた彼女も、ここまで来たら段々と焦りと不安が込み上げてきた。

 そもそも自分は女として認識されているのかさえ、怪しいのではないのかと思う始末であった。


 お願い。最初こそはセフレでも何でも良いから、そこから始めても良いくらいの勢いで来て!

 とうとう最終。ここまでの股間のバロメーターは良くも悪くも平行線。ここを逃してしまえば本当に売れ残ってしまう。

 だからこそ、あらん限りの愛嬌と言葉を振りまいて猛アピール。

 しかし、それでも股間は変わらずじまい。

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