男子小学生は異常 その後

さて、エアガンを投入してなお当初の目的を果たせなかったSでしたが、まだ諦めずに策を練っていました。しかしここで事態が急転します。


学校側が動き始めたのです。


事の発端は、Uの親御さんが、Uの服が不自然に破れている事に気がついた事でした。これは最初の公園での決闘でのものなのですが、当然よからぬ事態を疑ったUの親御さんがUを問い詰めたました。かくして事態が明るみにでるわけです。


当初露見したのは公園での決闘だけだったので、そちらには所用で参加できていなかった私は胸を撫で下ろしましたが、程なくして近隣住民からの通報でエアガンの一件が発覚。私も無事お呼び出しとなりました。


お説教ですが、割とどっちもどっちだった上、特に私はSに逆らえず無理矢理付き合わされた形なので軽めのものでした。ただ、Sへの動機の聞き出しは難航していました。教員の皆さんには「小学生が権力を狙って同級生を襲撃」という事態は理解が出来なかったようです。無理もないですが。また、同時期に公園でエアガンでサバゲーをしてたグループが問題になっていたことも相まって「エアガン禁止令」が発令されました。無論気休めにもなりませんでした。



実はこの後にも変な話は続きます。


こんなことに付き合わされた挙句お説教を食らい、遂に堪忍袋の尾が切れたTもとい私は、Sとの絶縁を決意します。


が、元来ビビリな私はSの報復にガチビビリし、結果「随所に刃物を隠し持つ」「急に奇声をあげて走り出す」「それらに対し声を掛けた先生に対して支離滅裂な事を話す」など、もともとの中二病に被害妄想が加わり、このような異常行動を繰り返すようになりました。なんで反逆しようとしたんだろうあの時の私。


それに対しての教員の反応は、「またか」と冷たいものでした。実は私、五年生の頃に精神を病んで自殺未遂をした挙句、止めに入った先生に暴力を振るうという事を繰り返すとんだ問題児でした。

六年生になってからはカウンセリングが功を奏したか落ち着いてきていましたが、それが再発したと思われたのです。


そして残念な事に被害妄想は妄想ではありませんでした。


二週間ほどあの手この手で逃げ回っていた私ですが、遂にSとKに見つかり学校中追い回されます。先生に助けて貰おうと解放されていた音楽室に逃げ込んだ私でしたが折も折、音楽の先生はその日出張だったのです。


完全にパニクった私は椅子を引っ掴んでSへ投げつけたそうです。この辺記憶が曖昧です。私からすればSが殴りかかってきたのに反撃したのですが、周囲からは私が発狂しながらいきなり椅子を投げたように見えたそうな。


さて、ツイッターであれば気づいた時には血まみれの相手が周囲に倒れている事でしょうが三次元は非情です。運動音痴の私が武道経験者のSに勝てるわけがありませんでした。

自慢のハサミを抜く間も無く組み伏せられました。しかし、組み伏せられてなお必死にSの膝に噛み付いていたそうです。


また、あとで知ったのですが、この際偶然その場に居合わせたIが私とSが揉みくちゃになっているところに面白がって椅子を投げ込んでいたとのこと。Sに同行していたKはそっちの対処をしていたそうな。



無論先生が駆けつけてきます。さて待ちに待ったお説教タイム。因みに、六年生は三クラスあったのですが、私は一組、Kが二組、Sが三組だったの、我々のお説教のためにで六年全クラス自習になったそうな。まあ普段から自習同然の授業ではありましたが。


そして洗いざらい事情をぶちまけた結果、私は多少の注意を食らって放免。SとKもなんか知らないけどすれ違いということで同じような処罰。

一番激しくお説教されたのは部外者のはずのIでした。男子三名のスケープゴートにされた形です。自業自得ですけど。



さてその後、私は無事にSと縁を切り、どさくさ紛れでKもSと縁を切りました。脳筋気味で面子をこれでも重視しているつもりのSと、頭がキレて冷徹なKはもともと反りが合わなかったのです。無論配下二名の背信に遭ったSの権力は完全に失墜しました。



その二ヶ月後、私達の小学校生活は終わりました。

しかしほとんどが地元の公立中学に進むため世紀末な日々は続く・・・かに思われましたが、男女それぞれの長だったM、Iが二人とも私立へ進学。

Mのワンマン状態だった男子グループは空中分解。高度に組織化されていた女子グループも他の小学校出身者も入り混じり、中央集権から地方分権に改革されました。


中学生になって少し丸くなったSはなんと返り咲きました。過去を清算し、女子からの人望も手に入れ、自分のクラスの悪質なDQNを返り討ちにしたことでその地位は不動のものとなった模様。


Kは私立へ進学し、以前からやっていた剣道に打ち込んでいるようです。疎遠なので詳しくは知りません。


Iは進学先でテニス選手として活躍。全国大会にも出たとかなんとか。ちなみに彼女長距離も速くて、母校のマラソン大会では男子の三分後に女子がスタートするのですが、男子の間ではIに追い抜かれない事が一種のステータスになっていました。因みにスタートから私は五分後には抜かれてました。


Uは私の中学の陸上部のエースになり関東大会にも出場しました。もとがさっぱりしたやつなので私にも普通に接してくれています。



そして環境の変化により再び精神を病む可能性が懸念された私ですが、本当に偶然、演劇部と巡り合い、本当の仲間と呼べる人達を見つけなんと光落ち。失った小学五、六年を取り戻しています。



さてその後とか言いつつだいぶ長くなってしまいましたが私の過去話これにて終了です。当分過去語りをすることはないでしょう。

聞きたい、というか読みたいって人がいらっしゃれば話は別ですが(チラッチラッ)


それではまた

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