第5話 普通の鳥?
その後、何度か口から炎を出そうとして息を吸い込んで吐くと、やはり炎も共に放出される。
なぜかわからないが、僕は鳥になった。
そしたらもっとわからないが、口から炎を出せるようになった。
理解できない……!
地球上に炎が出せる鳥がいるの!?
全く聞いたことないけど!?
いや、もしかしたら本当にいるのかな?
僕が病院の中にいたから、知らないだけなのかも?
だけど僕は病院の中にいたからこそ、いろんな本を読んだりしたけど、炎を出せる鳥がいるなんて書いてなかった。
そんなの、本当に漫画やアニメの世界……あっ!
もしかして……!
僕は前世の頃、暇だったからいろんな本を読んだ。
その中でライトノベルというジャンルの本を読んだことがある。
それでライトノベルの中に、異世界転生、というものがあった。
交通事故とかで死んだ人が異世界に行って冒険するような話だ。
非現実的だけど、読んでて面白かったしワクワクしたから覚えてる。
人に転生することもあれば、魔物とか動物に転生する話もあった。
それを思い出して、この状況を考えると……僕は動物、魔物に転生した?
突拍子も無い考えをしたと思うけど、あながち間違いじゃなさそう。
そもそも死んだはずなのに、鳥になってることがもう信じられないんだ。
ここが異世界なのかはまだわからないけど、地球とは違う場所と考えれば僕が炎を吹けることもおかしくは……あるけど、考えられない話じゃないかもしれない。
異世界だったら魔法とかを使える人がいっぱいいるらしいから、炎を吹ける魔物もいて不思議じゃないよね?
「キョー!」
もう一回炎を吹いてみる。
何回もやると結構慣れてきて、なんとなくこれだけやればこのくらいの炎が出るなとわかるようになってきた。
一番軽くやると、チャッカマンの火よりもうちょっと大きいくらいの炎が出る。
で、結構本気でやると、この洞窟の半分が炎で埋まるレベル。
……めっちゃ炎出る。
こんな出るとは思わなくて、最初出したときすごい焦った。
まだ本気じゃないってのが、ちょっと怖いところ。
この洞窟の中で本気で炎を吹くのはやめとこうと思った。
こんな大きな炎を出せる鳥が地球にいるなんて聞いたことがないから、多分ここは地球じゃないんだろうな。
まあここが地球じゃなくて、僕が普通の鳥じゃなくても、僕のやりたいことは変わらない。
この洞窟から出て、大空に羽ばたくんだ。
よし、休憩は終わり!
早くその夢を叶えるために、頑張らないと!
だけど闇雲にやっても意味ない。
筋トレをやろうと思ったけど、鳥がそんなに筋肉がつくかもわからないし、やり方もわからない。
じゃあどうするかって話だけど、僕は炎を出すようになってあることに気づいた。
身体の中に流れる、よくわからない変なもの。
感覚的に全身に通っていて、血液みたいなものが自分の体内を循環している。
血液みたいって言ったけど、血液ではないのもなぜかわかる。
なんで違うのがわかるかって聞かれたから困るけど、感覚的なものだからとしか言いようがない。
特に僕は身体の調子の良し悪しとか変化には敏感だ。
前世ではその良し悪しがわからないと死ぬかもしれないという身体だったから。
だから血液じゃないってことは確か。
それでこれは炎を出すときに少し減っていた。
炎の素みたいな、炎を出すためのものかと思ったけど違う。
これが体内にあると力が漲る感じがする。
逆にこれがないと死ぬんじゃないかな? 生命の源という感じかもしれない。
この体内にある、生命の源の粒子を使えば飛べるかもしれない。
なんでそう思うかはわからないけど……。
昔読んだことがあるけど、動物は生まれた時から持っている性質、考え方がある。
本能行動、と言ったかな?
例えば、ある鳥は生まれた直後に見る、動いて声を出す物体を親だと思い込んでしまうらしい。
それはその鳥の本能というか、性質が決まっているからということ。
それと同じように、僕は鳥に生まれて身体の中にある生命の源が、飛ぶことに使えるということがなんとなくわかる。
これを使えないと僕は飛べない。つまりこの洞窟から出ることもできない。
どうやって使うかはまだよくわからないけど、頑張るしかない。
筋トレとかをするよりは、こっちの方が本能が教えてくれるから出来そうかも。
使いこなせるようになって外に行くために、頑張らないと!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます