ワシをあがめるにゃ!
(へ、陛下……。なんとご成長あそばされて)
カラスは魔王の百倍は緊張して、このオーディションに臨んでいました。
そして、感極まってもおりました。
名前をなのれただけでも大した成長です。なにせ、もとがもとですので、相手から求められた簡単な要求に応えられただけでも、すごいことです。
負けず嫌いの魔王は、公爵家の狼のふたごに負けたくないため、カラスとトリュスとともに、真面目にオーディションに向けての特訓をつんだのです。
自身もオーディション経験者のトリュスのアドバイスは、実践的でおおいにためになりました。
その成果は大きく、うまくいくかに思われました。
しかし……。
★
「もういいです。もういいですよ」
「なんでにゃ! もっとうたうにゃ!」
やはり、そううまくはいきませんでした。
真桜こと魔王の本性は、簡単にかくしとおせるようなものではありませんでした。
音楽に合わせて踊れといわれれば、楽しそうに部屋中を駆け回って暴れ、他の子をおびえさせました。面接官の制止など聞きもしません。
歌えといわれれば思いっきり音程の外れた歌を大声で披露し、「もういいですよ」と言われようがやめようとはしません。
オーディションがめちゃめちゃです。
まるで、真桜リサイタルです。
ですが、
「あなたの大事なおやつが家族に食べられてしまいました。想像して、怒ってみてください」
そんなお題が出されたときには、魔王もなかなかいい演技を見せました。怒りの演技は得意なようです。
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