なぞのふたり

 きしんだ音をたてながら木の扉が開かれました。


「ほう……。子猫に、カラス……?」


 現れたのは、びしょ濡れのふたりの子どもたちでした。よく似た顔立ちをした幼い女の子と男の子です。

 ふたごでしょうか。


 ちいさな子どもたちですが、魔王の変化した幼女の姿よりは、いくらか歳が上に見えました。 


 女の子は腰までの銀の髪に赤い瞳、黒い首輪をつけ、黒いパンク系の衣装で身を包んでいます。気の強そうな顔をしています。


 男の子は肩までの金の髪に青い瞳、育ちのよさそうな白いシャツと半ズボン姿です。気弱そうな顔をしています。


 どちらもたいそう美しい容姿です。


 女の子は腰に手をあてて、子猫とカラスを値踏みするように、にらみつけています。

 さっきの怒鳴り声は、この子のもののようです。


 もうひとりの男の子は、その背中に隠れるようにして、おどおどとこちらを見ています。


 魔王とカラスに指を突きつけて、女の子が朗々と言い放ちました。


「お前たち……もしや下級魔族か? ここは我らのねぐらだ! 早々に出ていけ!」


 誰かに命令することに慣れた、怖れしらずな物言いでした。


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