第2話 どこぞの組員でっか?

職員室を入ると直ぐに朝礼が始まり、その後で、校長先生が新任職員の

紹介ということで案内された。

「お早う御座います。え~、山田と申します。先生方とお仕事が出来る

喜びで一杯です。宜しくご指導お願い致します」

職員一同、拍手パチパチパチ~~~。

校長「山田さん、そこの席に座って下さい、分からないことがあれば、

私でもよいし、教頭に申し出て下さい」

山田「はい、有り難う御座います」着座して持参した筆記用具や電卓、

メモ帳、ノートなど備品類を机上に並べていた。

そこへガラガラガラ~、バタン!荒ぶるドアを開ける音が響いた。

「うっす!」のっしのっしと散切り頭でヒゲ面のコワモテ男がガニ股で

肩で風を切って歩いて来た。

真っ白いジャージに太い黒のストライプが3本入った、ド派手の格好で

校長の席を通過する際に、「おお、校長!うっす!」

校長「ああ、お早うさんですぅ~」

これを見て山田は隣の女性教師に恐る恐る尋ねた。

「あのぅ~、すいません、あの人はどこぞの組員か何かで・・・」

女性教師「なにバカなこと言ってんの、体育の阿部先生よ!」

山田「えっ?あぁ、体育?でも校長先生が貫禄負けしてますよね?」

女性教師「あんた、ウチの学校、噂聞いてんでしょ?ワルガキが何人も

居るから、ああやって威風堂々としてるんだよ」

山田「あっ、な~るほど、刑事がヤクザを追い駆ける時、風格で負けない

ように、わざとヤクザ以上にヤクザっぽくなるって、アレですかね?」

女性教師「バ~カ、サスペンスの見過ぎじゃね」

阿部「おう、お前さん、新入りかい?見掛けねえツラだな、宜しゅう

お頼み申すぜ」

山田「は、はい、宜しくご指導お願いします~」

睨みの目つき、ドスの効いたツラ構え、短い首がめり込んでる格闘体型、

”宜しゅうお頼み”だって?ヤッパ、コイツは、ヤ、ヤクザだあ・・・。

阿部先生は着座するや否や、ポカリスェット500mlのペットボトルを

引き出しの中から取り出し「ガボッ、ゴクゴクゴクゴク~~~~~~、

ガアァァァ~~、フウゥゥゥゥ~~~、プハアァァ~~~、うめえ!!」

更に「おう、藤森先生よお、昨夜、俺が飲みに行った居酒屋でオメエも

居たよなあ、俺んとこに来れば奢ってやったのによお、ガハハハハハ」

周りの教師たちはし~~んと静かに授業に入る準備を黙々淡々と進めて

いるというのに・・・な、なんという豪快過ぎる奴だな、こいつは。

どこからどう見ても、こいつは教師らしくねえ・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る