第75.5話「過ぎ去った日々~おまけ」
清久との野球観戦が終わった翌日月曜日の朝。
マミ姉と一緒にテーブルに座って朝食を取っていた時だった。
普段食事中はテレビを点けないマミ姉が珍しくテレビを点けていて、流れてくるニュースに耳を傾けた。
オレも耳を澄ませる。地元のケーブル局が流すニュース番組だ。
「ねえ、真琴――」
テーブルの反対側にある醤油を取ろうと、身を乗り出したとき、マミ姉が話しかけてきた。
「何? マミ姉」
朝早く起きて朝食を作るマミ姉。それも大変だが、朝既に身繕いを終えて髪もきちんと解かしている。
マミ姉はいつも綺麗だな……と見惚れた。
「さっきニュースでやってたんだけどね――」
マミ姉が、ついでにはい、醤油を渡してくれた。
「昨日天聖市民公園で事件があったんだって」
「へえ……それがどうしたの?」
「公園の道ばたで、う○○しちゃって、そのまま眠りこんじゃった若者たちが、いたって」
「ごふっ」
一瞬喉に引っかかっていたご飯が、むせそうになった。
「『天聖市迷惑行為防止条例』で、警察に逮捕。そいつら余罪を調べたらいくつも出てきて、まだ取り調べが続いてるらしいの。結構ここ最近不審な男が若い女の子を強引に連れ回そうとしたりした事件があって警戒をしていたらしいわよ。あれ? 天聖市民公園って、ちょうど、真琴も昨日行ってきたらしいけど、何か知ってるの?」
マミ姉が優しげな眼で、でも何か意地悪っぽそうな笑みを浮かべている。
「なんだか何か不思議な力が使われたみたいな話ねぇ」
「うう……」
オレは知っている。これはやばい微笑だ。
「え、えーっと……」
必死に昨日の記憶を思い出す。
☆☆☆
オレの胸の中で何かが弾けた。
「お前らーお前ら――」
「ああ?」
「お前ら、今すぐ目の前から立ち去れ。クソして寝てろ!!」
☆☆☆
―あ、「家に帰って」ってと前に付けるの忘れた……―
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