第4話 事件解決!
「これにて一件落着ですね!」
縛られた状態で気絶しているジュードを見ながらカナンはどこか誇らしげだった。
「お、おう」
一方でディレル達には困惑舌空気が広がっていた。
「では、私は先に迷宮を出てここのギルドに報告してきますので皆さんは犯人を連行してきてくださいねー」
だが、カナンはそんなことは気にもとめず、安全地帯を出て迷宮の通路に消えていく。
それをディレル達はどこか気の抜けたように見送っていた。
カナンが去った後の安全地帯では、ディレルが難しい顔つきでカナンの去った方を見つめていた。
「あれのどこが精霊だよ……物理干渉出来る時点でどう考えても人じゃねえか」
「しかもものすごく強い。あんなのに護られているのなら迷宮も楽勝なんだろうけど、教えてあげた方がいいのかな?」
「止めときなさい。あの子が精霊と思っているのならそのままにしておきなさい。変に教えようとして
ディレルとミアが、カナンが精霊と呼ぶ存在について話していると、フィーアが仕方が無いといった風に止めに入った。
「フィーア? 何か知っているのか?」
ディレルの問いかけにどう答えるか少し悩んだ様子のフィーアだったが、伝えておいた方が良いだろうと判断したのか口を開く。
「だってあの子、ハイエルフィンの血族よ」
「「ハイエルフィン!?」」
ハイエルフィンといえば森妖精族のトップ――王族とでも呼ぶべき存在だ。
ということは、カナンも王女やそれに準ずる存在ということになる。
さらに、フィーアが続ける。
「しかも、長老のお孫さんね。カナンていう名前は知らなかったけど『おじいさまの名にかけて!』とかあの名前で言われたら森妖精族なら誰でも気付くわ」
「じゃ、じゃああの黒衣って……」
「精霊ってことにした森妖精族の護衛だと思うわよ。しかも、おそらく精鋭ね」
「俺、もしかしてヤバかったんじゃ……」
最初の頃、カナンにひどい態度をとっていたディレルは今更ながらに恐怖が襲ってきたのか、顔が青ざめていた。
「とんでもない子と知り合っちゃいましたね」
「まあ、私達はあの子の言う通りコイツをギルドに突き出せばいいんじゃないかしら……無事だったのだし」
フィーアの言葉に異論は無いのか、ジュードを引き摺りながら、ディレル達はギルドを目指し安全地帯を後にする。
一方で、ディレル達と別れ迷宮内を進むカナンはどこかせわしなく視線を彷徨わせると、唐突に叫んだ。
「むむ! 次の事件が私を呼んでいる気がします! さっさと報告して行きますよ、精霊さん!」
迷宮探偵カナン・ディ・エルフィネスは
真相は常に一つ! というかけ声とともに。
迷宮探偵カナン 海星めりい @raiki
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