第14話 「失敗しちゃったね」
「失敗しちゃったね、ごめんね」
かつて母が私に言った言葉である。
幼い頃に軽度のアスペルガー障害の診断を受けていた私は、周囲となじめず自分の世界にこもりっぱなしだった。
そんなことをしているとどうなるか。
周囲は私を無礼な子だと思うし、私は周囲に対して理想通りでないと腹を立てるという最悪の構図が生まれる。
そんな私に母は言うのだ。
「失敗しちゃってごめんね」と。
育て方について言っているのならお門違いだ。
障害は先天性のものだから。
生まれた後のフォローについて言っているのなら、正直に言って「ごめんで済むか」と言いたい。
障害手帳や障害年金などの申請だって、もっと早くしてくれたらこんな苦しまずにすんだかもしれないのに。
職を転々としているのだって、相応しい対応策をもっと早く見つけることができたかもしれないのに。
いずれにしろ、もう仕方のないことだ。
失敗作の私は失敗作のまま、生きていくしかないのだ。
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