第36話 777回の転生でもびっくり‼︎ 『ネーミングは大切に』
「ぶはぁぁ!」 といいながら、遊者(ライト)は定位置の棺桶から出てきた。
「俺は何で倒れてしまったんだ?」
「倒れていたのでごわすか? 気づかなかったでごわす」
飲み過ぎた人間もそうだが、無意識というのが一番怖い。潜在的に思っていることを口にしてしまうのだから。
「確か、俺が気合を入れようとして、カルバンが守ってくれて......」
「そうでごわす。おいどんが倒したでごわす」
「マジか!」
「マジでごわす」
ああ、こればかりは否定するつもりはない。
「セブンは何もしてくれなかったでごわす」
......こっこればかりは、ひっ否定するつもりはない。今すぐに1のダメージを与えてもいいだろうか?
「仕方ないだろ。セブンは冒険の初心者なんだから」
......棺桶率100%のお前に言われたくはない。棺桶に入ることはそんなにも偉いのか? と言いたくなる。いや言ってもいいのだと思うが。
カルバンの偉そう無双はまだまだ続く。
「そのおかげでおいどんは強くなったでごわす。覚醒でごわす」
「そうか。じゃあこれから頼りにしているぞ」
「はいでごわす!」
カルバンは今までになくいい顔をしていた。
良い光景だ。遊者が戦士を信頼し、それに応えようとする。これこそが冒険の醍醐味の一つだと思う。俺とイムの存在は完全に忘れているのだろうが。
まあ先ほどからずっとイムをお姫様抱っこしているのだが、なぜ平気かというと、擬人化の影響なのであろう。イムが起きている時は人間の体重になっているのだが、眠っている時の重量はスライムくらいなのである。なので腕に負担になることがなくずっと抱っこ出来ているのだ。
(まあこれは二人だけの秘密になるのだけどな)
こちらの事情は置いておいてたとして、カルバンよ、君は瀕死ということを忘れてはないだろうか? 忘れてなければいいが。ここは回復魔法を勝手にかけるのは少し違う気がするので、回復薬を渡してみることにしよう。
「カルバン、お疲れ様。回復薬をどうぞ」
と俺が下手に出ると、その回復薬を俺の胸に突き返してきた。
「これはセブンが使うでごわす」
「えっでもさっきの戦闘でダメージ(瀕死)を」
「おいどんには枕スラッシュがあるでごわす。緊急の時に使うでごわす」
カルバンは自信あり気に歯ブラシをかっこいいポーズで見せてくれた。
いやいや、今が緊急だったりするのですが!
それに次の戦闘が1週間後だと思っているのかい? モンスターは待ってくれないし、その間の旅費はどうやって稼ぐというんだ?
あと枕は宿屋に返せ。
「さて、カルバンが出来る男になったから、行きますか‼︎ ......どこに行くんだっけ?」
「あの、東の洞窟に村人が捕まっているんです」
「もしかして女でごわすか?」
あれ? 遊者たち(こいつら)に話してなかったか? まあいい復習がてらもう一度言おう。
「えっと、助けに行くのは男性で、そこにボスがいると思われます」
遊者(ライト)とカルバンは分かりやすく嫌そうな顔をした。
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