第37話 カルバンよ、調子に乗るでない! 怒
【二角ラビットたちを倒した。経験値10、8ゼニーを手に入れた】
勝った。始めて勝ちましたよ。まさかという表現は申し訳ないのだが、まさかの勝利!
そして、なぜ遊者(ライト)が棺桶に入っているか? を説明していきたいと思う。
それは簡単なことだ。カルバンは今回の戦いで【枕スラッシュ】を始めて使用したため、加減が分からなかったらしい、二角ラビットたちを倒したまでは良かった。その後勢い余ってこの光の線がこちらにまで向いてきたのだ。
で、俺よりの前にいた遊者(ライト)がダメージを受けてしまった。ということになる。
なんとも残念だ。遊者(ライト)の戦闘死亡率が100%を維持しているとは。まあ冒険に支障が出ないのでいいが。
(それはそれでどうかと思うけどな)
カルバンは自分の力に驚いているようだ。それもそのはずだ。戦士として不甲斐ない状況が続いていたのにもかかわらず、まさか大技を覚えてしまったのだから。
「これはおいどんがやったのでごわすか?」
「ああ。カルバン、お前がやったんだ」
「おいどんは強かったのでごわすね」
「強くなるかもしれないな」
(だが、カルバンがレベルアップをするには12万もの経験値が必要になるのだが)
俺が気になったのは、大技の使用に関することだ。
普通なら、MP(マジックポイント)か、HP(ヒットポイント)を犠牲にして大技というのは使えたりするのだが、カルバンは瀕死だし、MPも持っていない。なら無限にこの技が使えるということなのか? そうなれば素早さの早いカルバンは戦闘においてかなり戦力になる。
俺はカルバンのスキルを見ることにした。すると......
【スキル 枕スラッシュ 次回使えるまであと1週間】
なんと! 時間で使える使えないなのか! 一度使ったら1週間も使えないというのは本当の意味で必技ということはないか!
そんな表記もあるだなんて想像もしていなかった。
少し自信を持ったのでカルバンは、誇った顔で俺に近づいてきた。
「今まで後ろがいいとか言ったこと謝るでごわす。これからは一番先頭でみんなを守るでごわす」
......いやいやいや、見て! 見て! ステータス! ちゃんとここに大切な表記!
一撃で瀕死になっているんだよ! それなのに粋がって突っ込んでいったら棺桶屋と教会が儲ける結果になるでしょ?
「ううん。一番先頭は僕が歩くよ。好きなの一番前」
「ダメでごわす」
くそ! 頑固者が! 一番前は勇者のものだ。だから絶対に譲りたくない。
「えっとイムが一番前はセブンがいいって言ってたから。あはは」
「それなら仕方ないでごわす」
こいつ! 俺がモンスターだったら真っ先に倒してやろう。仲間でよかったなカルバン。
などとちょっと捻くれてはみたが、そこは置いておいて遊者(ライト)を蘇さなければと思い、俺は小声でリバイブの魔法を唱え、遊者(ライト)は蘇った。
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