第31話 777回の転生で初めての語りとブーケトス
ーーセブン語りーー
ここで、一つ皆さんにお伝えしておきたいことがある。
皆さんはお気付きだろうか。
ここまで約5万文字の時間を要していることを。
本であれば3分の1くらいのところになるかと思う。
俺は魔王を倒すという、冒険の中で当たり前のストーリー展開にしている。
それは転生を繰り返しているせいか、魔王を仲間にしたり、それこそその世界の神を仲間にしたり、仲間だったものに対して復讐をしたり、世界が混乱に巻き込まれながらも自由に暮らす勇者などもいた。
(中には料理人とかになってたり)
いろんな転生を繰り返してもなお、俺は【勇者として魔王を倒したいのだ】
初めての転生から今までブレることなく、ついに勇者になれたというのに、
ここまで約90分くらいの時間をお付き合いしていただいたにも関わらず!
まだスライムしか倒せていない状況である。
待て待て! このくらいの時間があれば、いろんな問題が起きるが最強の転生を繰り返した俺なら、何事もなく解決出来るというのに。
なぜこんなにも進まないのか!
(主に取り巻く奴らのせいだが)
物語上ではまだ1日半しか経っていないのである。
......1日半でここまで時間がかかると俺はいつ魔王の城にたどり着けるんだなんて思ってしまう。
なので皆さんに言いたいことは一つ。
【気長にお付き合いください】
だ。もしくは恨むなら王様を恨めだ。俺の人生は王様(あいつ)によって捻じ曲げられてしまった。だからと言って勇者として全うに旅をしたいのだ!
それが俺の変えられない想いなのである。
すまない。ここで一言言っておきたかった。
ということで本編に戻るとしよう。
ーー本編ーー
俺はイムは村の外を出ると、村の女性たちが祝福をしてくれた。
「あの人、本当に綺麗ね」
「美男美女。羨ましいわ」
「私も彼氏が帰ってきたら、プロポーズしよ」
「ここはニコルの村だよ」
.....あっ入り口にいた男性だ。いや話しかけてないから。
宿屋の女性は俺らに手を振ってくれている。ありがとうここまでしてくれて、本当にいい思い出になったよ。お願いだから寝てくれ。
先ほども一人言で話したが、スライムしか倒していないにも関わらず、そのスライムが擬人化して奥さんになるというのは中々の経験だ。ドラゴンの擬人化と結婚するなどはよく目にしてきたのだが。
ある程度歩くと俺とイムは振り返り、ニコルの村の女性たち(一名男性)に一礼をした。
そしてメインディッシュのブーケトスの準備に入るイム。その瞬間、女性たちの目に色が変わりバスケットのポディションの取り合いをも上回る熾烈な戦いをしていた。
その中で宿屋の女性の無駄のない動きでセンターを取った。
うまいあのポディショニングが出来れば戦闘にも役立つことは間違いないだろうと感心をしていると
「せ〜の」
とイムがブーケを投げた。
高く舞うブーケ、結婚という【ゴール】を誰がリバウンドするのか。
個人的には宿屋の女性に取ってほしい。
ブーケはスローモーションのようにニコルの村の女性たちに近づいてくる。
ここからはタイミング、作戦の読み合いである。
イムと俺はドキドキしながら見ていると、開口一番、素晴らしいタイミングで宿屋の女性がジャンプをした。
そのジャンプはまっすぐ飛び、しかも高い。遅れを取った女性たちが飛ぶものの明らかにその高さに違いがあるため勝ち取ったことを誰もが確信した。
......だが、運命はそううまくいかない。
俺と同じなんだよ。どんなに頑張っても邪魔する奴は邪魔をしてくる。
その邪魔をしてくた人物、それは......
【村の入り口に立つ女性(男性)だ】
勝ちを確信した宿屋の女性の伸ばす手の先をはるかに超すジャンプでブーケをもぎ取っていった。
ブーケを諦めた女性たちは宿屋の女性の祝福をしようと心の準備をしていたのにも関わらずだ。
ブーケを持ち、入り口の男性は嬉しそうに声を出した。
「ここはニコルの村だよ」
それしか喋れないのかよ! 喜びの言葉くらい言えよ。
ちなみにその頃、遊者(ライト)とカルバンはなぜか棺桶に入っていた。
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