第16話 777回の転生でも初! 最初の街での仲間割れ。泣

「これで用事はないだろ?」


 神官は息を切らせ、今日の任務が終わったかのようにすっきりした顔をしている。

 人はご褒美があるとこんなにも頑張ってしまうものか。と俺は思ってしまったのだ。

 うちの遊者様はそんなことはお構いなしに自分勝手というスキルを使うのです。


「ちょっと待って、お祈りをしたい」

「後にしなさい」


 神官は遊者(ライト)のお祈りを拒否した。そんなにも見たいのか? 見たいだろうな。俺もそうだった。まさかこんなにも早くアイテムが早く使えるなんて......どこかで補充しなければ。カルバンあたりにお願いして。

 遊者(ライト)はちょっと拗ねたように教会を出ようとしたが、神官のチラチラとタンスを見ていることに気づいていたらしく、タンスに近づく。

 神官は知らないふりをしようとするが、額から冷や汗を掻いている。

 遊者(ライト)よ。無意識に人を嫌がらせる術は最高のスキルだと思うぞ。

 そしてライトがタンスを調べてしまうんだ。


【ライトはちょっとエッチな本を手に入れた】


 おい! せっかくタダで蘇してもらったのにその仕打ちはないだろ! と言ってやりたいが、それを上げたのが俺だとばれたくはないので、黙っておくと。


【神官は悲しい顔でこちらを見ている】


 気持ちはわかるが、助けをこっちに求めないでくれ。


「おっしゃ、いいアイテム見つけたぜ、これを売って旅の資金にしよう」


 ......確かに世界観的に許されるかもしれないが、だとしても非情すぎる。

 神官だって人だもの。娯楽を与えてやれよ。俺は寂しそうに訴えてくる神官を見てみないふりをして教会を出た。

 来世で今世の分を楽しんでくれ。次は神官でないことをお祈りするよ。


 教会を出て、城下町を歩いている俺たち。

 俺は早く冒険に出たいので、催促をしてみることにした。


「あの、遊者様、そろそろ次の村に行きませんか?」

「いや〜行きたいんだけど、装備が揃ってないからな」


 装備? 一度ご自身の装備を確認して欲しいものだ。それ以上の装備は中々ないぞ。

 もし装備のことについて言う権利があるとすれば、カルバンだけだ。

 カルバンに限っていうと、素材が集まったら錬金術で作ってやろうと思う。仲間は仲間同士助け合わないと、この先思いやられる。


 俺が一人で考え事をしていると、レイラは装備を脱ぎ捨て、一般人の格好をした。

(そもそも道端で装備を外すという行為はどうかと思うが)


「ねぇライト」

「何だ?」

「私たち、もう終わりね」


 レイラ......何を言っているんだ? 


「約束が違うじゃない!」


 約束?


「ライトが勇者になったら、各地をバケーションできるようになるからって。だから結婚してくれって」


 バケーション! 女を口説くために勇者になったというのか? それが事実だと、俺の怒りは王を遥かに超えてしまうがよろしいだろうか?

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