第15話 777回の転生により神官の弱みを存じております
—————セブンside—————
俺はとりあえず教会へ向かった。教会に近づくと、数十人の大工が集められており、迅速に屋根を修理している。
王様、身の危険を察知したのか? やればできるじゃないか。
と少しだけ関心した。
「さて、ここからどうしようか」
教会の中へ入り、俺は神官に話しかけた。
「本日はどのようなご用件で?」
「仲間を生き返らせてほしい」
「どの仲間を生き返らせるのだ?」
「とりあえず、ライトを蘇らせてもらって、そのあと、俺は棺桶に入るから、おお、死んでしまうとは情けないといつものセリフを言ってもらえればいい」
神官は少し間を空けてこう言ってきた。
「私は神官です。嘘など付けません」
そうだろうな。俺も二、三回神官をやった時に融通が利かないキャラをやらなきゃいけなかったもんな。神官の経験者だからこそ弱味も知っている。
「そうか残念だな。もし協力してくれるのなら、これをあげようと思ったのに」
俺はアイテムボックスから【ちょっとエッチな本】をチラ見させた。
ちょっとエッチな本とは、Tシャツ、短パンの女性が海で楽しそうにしていて、たまにTシャツから水着が見えるくらいの、何ら問題はないものではあるが、神官にとっては肌を見ることさえも禁じられているため、激レアなお宝なのだ。
(お祈りに来た人は別として)
なので、自分の好きな時間に見られるとなるとこれほど嬉しいことはないのだ。777回の転生は様々な処世術としても使える。さあどうする神官様よ。
神官は鼻息を荒げてこちらを見ている。
あなたにとってのパラダイスがここにありますよという念を込めて、俺は本を出したり引っ込めたりを繰り返した。
「悪い条件ではないだろ? むしろ好条件だ。蘇らす分の代金はもちろん払う。そして俺は死んでないが、棺桶に入っているため、10ゼニーの支払いにしてくれるだけで、この本は神官のものだ」
「その本が私のもの? くだらない。神を背にして嘘など」
「そうか。残念だ」
俺はアイテムボックスに戻そうとしたが、神官は必死に俺の手を止めて、本を奪い取った。
「私は、神に仕える身そのようなことは出来ません!」
と神官は本を服の中へ隠し、見つからないようにタンスの一番下に隠した。
「早く、棺桶に入りなさい。私は何も見ておりません。何もしておりません。これから勇者ライトを蘇らすだけです」
「そうだったな」
俺はニヤリとしながら棺桶に入ると、神官は蘇りの呪文を唱え、ライトは蘇った。
「おお、ライトよ、死んでしまうとは情けない」
神官、ちゃんとやってくれるじゃないか。
「またスライムにやられてしまったのか?」
「そのようだ。二度目か〜スライムって強いんだな」
何だと! だからか! あんなに早く酒場に来たのは。城下町からなかなか出ようとしなかった理由は。繋がった、繋がったぞ!
にしても弱すぎる。街に出れない遊者は何を守れるというのだ!
「あっえっと、みんなを蘇してあげたいけど金がなくて」
金がないなら王様にツケ払いにしておけよ。
「お金などいりません」
「本当か!」
神官、太っ腹だな。
すると神官はタンスをチラチラと意識し始めている。
なるほど、早く見たいという魂胆か。
「では、一気に蘇すぞ。でやああああ」
神官から並々ならぬ気合を感じた。おそらくだが、今持てるすべての力を出し尽くしたのではないかというくらいの魔力だ。
するとカルバン、そしてレイラが蘇った。俺もよきタイミングで蘇ったことにした。
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