第13話 セブン、イケメソ

【そうか、そうか。やってくれるか! 魔王への転生を断られ続け150

 万回目で困ってたんじゃ】


 魔王ってそんなにも人気がないのかな? もったいないな。


【お言葉に甘えてお主を魔王として生を与える】


 そして僕の体が光、魔王となった。

 そう、みんなが拒み続けて理由。それは最強の強さを持ち、最悪の顔を持つ魔王だったからである。


「なんか騙され感強いよな。誰だよ、イケメン枠を取ったの」


 僕はちょっとだけ怒っていた。この世で誰かはイケメンとして生きているはず。

 そのイケメンの欠片でさえ残さず、根こそぎ持って行ったやつを。


「相手さえわかれば倒しに行くんだけど、でも倒したところでイケメンになれるわけでもないからな。......複雑だ」


 僕は王座にふてくされながら座り、僕はステータスを確認した。すると称号の魔王の隣に手書きで【イケメソだお】と描かれている。



【名前】  ミーファ

【称号】  魔王 【イケメソだお】

【レベル】  ∞

【体力】   99999

【魔力】   99999

【力】    255

【防御】   255

【素早さ】  255

【格好良さ】 宇宙で一番のブサイ......イケメソ!!


【使える魔法】 

 闇魔法、魔物蘇生


【武器】     イケメンの槍

【防具】     イケメンのローブ

【盾】      イケメンの盾

【兜】      イケメンフード

【アクセサリー】 仮面






 強さは申し分ない。そして装備も揃えさせた。だがそれでも僕をイケメソという人はいない。


「おい、鬼人よ」


 鬼人は僕に顔を合わさずに来た。


「お呼びでしょうか?」

「なあ鬼人......あのな」

「その、あの、イケメソにございます」


 こいつ無理に言ってるな、なんだか気を使わせてしまい悪いな。


「今回はその件ではない」


 鬼人は満面の笑顔で僕を見た。そんなに答えたくなかったのか? 本当に悪いことをしていると思う。


「ご用件を何なりと」

「なあ、この世界でイケメソと呼ばれるやつはいるのか?」


 鬼人は笑顔になり、大事そうに僕にオリジナルのブックレットを見せた。


「魔王様、こちらにございます。セブンという人間でございます」

「セブン?」

「はい。この男性はアリナイハンの一般家庭に生まれながらも、実力もさることながらイケメソと報告が上がっています。まあスライムばかりを倒していたのでスライム達には悪魔と言われていたのですが、他のモンスター達はあまりのイケメンによく草木から覗いて見ていたとのことです」


 ......確かにイケメソだ。そう僕だってこうなりたかった。強さなんて要らない。

 ただ、イケメソに。


「実はここだけの話、私も見てきたんです。セブンさんを。私は! 絶対に恋愛対象とかで見ませんからね」


 鬼人は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。

 鬼人、見てるな。その様子だと


「もうカッコよくて、強くて気品があって。いつまででも見てられました」

「そんなにイケメソなのか?」

「実のところ、セブンファンクラブがあるくらいなんです。私は親衛隊長をやらせてもらってます」


 鬼人、ガチファンじゃないか。僕もこういう反応をして欲しかったんだよな。

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