第12話 神と魔王の会話

 その顔は丸顔で目が細く、唇は厚い、頭の毛は一本太い毛が生えており、両サイドにツノが生えている。そして顔のバランスが非常に悪い。

 絶世のブサイクなのだ。

 鬼人は何も答えられず。


「......ご報告は以上です」


 と去っていった。


「おかしいな」


 魔王は鏡の前へ行き


「我が名は魔王、ミーファ。鏡よ、鏡、正直に答えてくれ。俺はカッコいいか?」


 すると鏡は割れました。

 僕は他の鏡でも試そうと移動すると移動する前に部屋にある複数の鏡が全て割れたんだ。


「......こんなはずじゃなかったのに」


 僕は朧ながら覚えている。


 神の間というところに行き【生】をもらう。

 夢か本当かは分からないが、確か223回くらい行ったと思う。そして僕は神にいつもこう願っていたんだ。


【神様。お願いします。今度生まれ変わるときはイケメンにしてください】と


 僕は村一番のイケメンでもよかったし、モンスターの種族一番のイケメンでもよかった。イケメンであれば何でもよかった。

 神はにっこり笑って頷き、僕に【生】を与えた。


 ブサイクでした。何度転生してもブサイクでした。なぜか僕のブサイクは生命力だけはずば抜けてよかったため、222回は全て100歳越えを繰り返していた。未だ結婚もしたことがない、それどころが手も握ったこともない。スーパーが付くほどに賢者、大賢者、いや精霊魔導師なのかもしれない。


 そんなに難しい注文をしているわけではないと思う。僕よりも少し前に並んでいた人が神に向かってイチャモンつけていた気もするけど、僕はそんな勇気がないからいつも一言だけ言わせていただいていた。


 ある時、神はお疲れでした。223回目になる今回。

 神はすごく疲れていました。僕もさすがにイケメンとなって転生を終えたいと思っていたので、ちょっとだけ声を大にして言ってみたんです。


【あの、あの! 前から言ってるんですが、イケメソにイケメソになりたいので、どうぞ! あの、よろしくです】


 神は今にも倒れそうでした。聖戦でもやったのかというくらいの疲労度でした。

 そして神はこう言いました。


【お主も覚えとるのか? マジめんど】


 神が神という職を放棄して、タメ口が飛び出した瞬間だった。


【ごめん、君に用意されているものだと、ちょっとイケメンではないと思う。ちょっとあるやつに色々与えすぎてしまって】

【いやです。なんでもいいです。草木のイケメソでもなんでも】

【......そう言われても。MK(まじこまる)なんだけど】


 あっ......神が壊れた。


【お願いします、僕の魂にモテるという行為を刻みたいんです】


 神様は僕とのやり取りでさらにゲッソリしてしてしまいました。


【一応、魔王枠ならあるんだけど】


 魔王! 僕も何度か転生してきてうっすら記憶にあるものだと、魔王と気品がありカッコよく部下に愛される存在。それに僕がなれるというのか?


【無理にとは言わん。もうちょっと待ってくれれば、神に誓って......ワシ、神だけどちゃんとするから】

【魔王でいいです。魔王にしてください! お願いします】


 神様は嬉しそうだった。なぜか一気に血色が良くなった気がする。

 肩の荷が下りた感じだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る