第11話 スライムさん達、さようなら

 スライム達は俺が蘇った姿を見て驚いてはいるがまだ自分たちが強いんじゃないかと勘違いをしている。

 いや、俺、モンスター語喋っていることにまずは驚いて欲しいものだが、まあそんなことはどうでもいい。大いに勘違いをしているスライスCが自信満々に俺の前に現れてくれた。


「ピッピピピ(一対一の勝負をしないか?)」

「ビビビビビ(ただのスライムが何を勘違いしてるんですか?)」


 スライムCは鼻で笑った。周りのスライムは大笑いしている。仲間を倒されて(あんなやつらだが)怒りは頂点にきているというのに、まだその先を見せてくれるのか? こいつらは。

 そしてスライムCは俺に。


「ピ(大口を叩くのなら俺を倒してからにしろ!)」


 と俺に向かって体当たりをしてくてくれた。俺は両手に火を出しているので、足癖が悪いと思われたくないが、スライムCを蹴り飛ばした。


【ズガガガン! 会心の一撃スライムCは999のダメージを受けた】


 あっごめん。怒りの分までダメージが増したみたい。

 スライムCは無残に負けた。それを見てスライム達が逃げようとしたので、両手の火を左右に円を描くように投げ、スライム達の前に火柱を作った。


「ごめんよ。お世話になっていたのにこんな形でしか恩返しが出来なくて」


 俺はニヤッと笑っていた。それを見たスライム達は怯えていた。


「英雄スライムとともに安らかに眠れ。エクストリーム!」


 俺が呪文を唱えると、火の内側が30mをも超える火柱が立った。

 火の魔法の最強呪文である。

 仲間をバカにされたのだからこの位は普通であろう。

 そして英雄スライムC、そしてその他スライム1002匹はものの1分足らずで消滅してしまった。


「さて、ここからどうしようか。俺は棺桶に入っていることになっているし、でも俺が蘇生魔法で生き返すのも変な感じになるし、アリナイハンに戻って考えるか」


 と、俺は3つの棺桶を引きづり、数歩で着くアリナイハンに戻ろうとすると一匹のスライムが俺の前に現れた。


「ごめん、もう君たちの相手をしている時間がないの。俺は冒険がしたいんだよ」

「ポポポ(勇者様。どうか私を旅に連れて行ってはくれませんか?)」


【スライムは仲間になりたそうにこちらを見ている】


 .....魔物使いのスキルか? いやでも、生き返った瞬間にスライムがいたら驚くだろ? 俺が勇者として冒険をしているのならありがたいことだけど。


「ビビビ(ごめんよ。君が人間だったら連れて行けたのだが)」


 俺がそう言うと悲しそうに去っていった。悪いことをしたな。仲間をあれだけ倒してしまって、それを見ていて悪魔と呼ばれる俺に話しかけてきたんだ。

 どれだけの勇気が必要かも分かる。

 怒りが落ち着いた今だからこそ申し訳ないと感じている。


「これもタイミングだな」


 と岩の呪文を解除し。俺はアリナイハンに戻った。今回の冒険はたった数歩で終わった。


 —————魔王side—————


 森に囲まれた黒く染めらた城。コウモリたちが飛んでいる。

 王座には真っ白な仮面を被った魔王の姿。

 慌ててメガネをかけた鬼人の女性が魔王の前に姿を表す。


「魔王様」

「なんだ?」

「先ほど、アリナイハン周辺にてスライムの反応が無くなりました」

「スライムの反応? 繁殖率の高いスライムがか?」

「はい。もうあの地域にはスライムが繁殖することはないでしょう」

「ほう。勇者でも現れたか」

「如何なさいましょうか?」

「それよりも鬼人よ」

「何か?」


 魔王は仮面を取り、鬼人に顔を見せる。

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