第7話 冒険させてください。泣

 俺が理解できたことといえば今世、【勇者】として旅がまともに出来ないということ。いつかの転生で勇者と冒険をした時は和気あいあいしながら、お互いに助け合って、励まし合って乗り越えていった。

(めちゃくちゃ楽しかった)

 こんな冒険を俺が勇者になったらするんだと思わせ心を震わせ、何百の転生を我慢してきたのだが。


「理想でしかないということか」


 俺は教会を出た時に理想の冒険像のカケラを少しだけ捨てた。まだ序盤、いや始まったばかりで全部を捨てるわけにはいかない。

 まずはこのパーティーで何が出来るのかを考えていかないと。切り替えは重要だ。きっかけがあれば......。


「なあレイラ、強くなった感じはあるか?」


 遊者(ライト)よ、いいところに気づいた。レベルが最大値だったレイラの限界を超えたレベル10。そのステータスを確認しておくのは絶対に必要だ。

 伴侶には申し訳ないが一番の戦力として考えさせてもらおうと思っている。


「なんかね、魔法、覚えたみたい」


 ......神よ、気が利くじゃねえか、伴侶がどんな魔法を使えるようになったかは気になる。今まで望みがなかった分、期待するしかないよな。

 俺は楽しみにしながらレイラのステータスを見ることにした。


【名前】  レイラ

【称号】  伴侶 (改)

【レベル】  10

【体力】   27

【魔力】   4

【力】    1〜30

【防御】   2〜12

【素早さ】  3〜14

【格好良さ】 学校で7番目くらいに可愛い


【使える魔法】 

 バンドケア


【武器】     煌めきの杖

【防具】     煌めきローブ

【盾】      なし

【兜】      猫耳キャップ

【アクセサリー】 婚約指輪


 ......神よ。また俺にツッコませる気か? しないぞ。しないからな。勘弁してくれ、各々にツッコミは任せる。俺は早く旅に出たいんだ。

 それにしてもバンドケアという魔法はどんな魔法なんだ? 何度も転生をしてきたが聞いたことのない魔法だ。


「レイラ、その魔法使ってみて見せてくれよ!」


 レイラは目を瞑り魔法を唱えようとしたが


「ゴメンみんなの体力が全回復しているから使えないみたい」

「んだよ」

「残念でごわす」


 ということは、回復魔法か! よくやった! 神! これは戦闘でも、移動中にも使える魔法の可能性が高い! 気になる点はレベルが10になったにも関わらず、魔力があまり上がらなかったという点だが、まあそこは魔力の上がる木の実などでカバーするとして、大目に見てやろう。

 神よ、少しだけグッジョブだ。


「さて、メンバーも4人揃ったことだし!」


 遊者(ライト)がやる気を出してくれたのか? 行こう! 俺たちの冒険へ!


「飯でも食いに行くか!」



 ......飯はあとにしよう!

 俺はバレないように風魔法の下級魔法、風(エアー)を使って、遊者達を回転させ、アリナイハンの城下町の外に出させた。

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