第4話 ステータス確認をしよう②
僧侶の女性を見て安心した。容姿は良い。品がある。それに見た感じ装備もしっかりしている。僧侶がなんとかなれば、回復を優先にしてもらい、遊者(ライト)を生かしつつ冒険を続けていける。
俺は、期待をしてステータスを見たんだ。
しかし.....
【名前】 レイラ
【称号】 伴侶
【レベル】 1
【体力】 4
【魔力】 0
【力】 1〜15
【防御】 2
【素早さ】 3
【格好良さ】 クラスで三番目くらいに可愛い
【使える魔法】
なし
【武器】 煌めきの杖
【防具】 煌めきローブ
【盾】 なし
【兜】 猫耳キャップ
【アクセサリー】 婚約指輪
.....ほう。名前はレイラというのか。僧侶のはずだが、魔力がないのは少し痛いな。レベルが上がっていけば魔力も魔法も覚えていくだろ......ん? 伴侶? 僧侶じゃない!
誰の伴侶だ? よく見れば婚約指輪もしている。そんなやつを冒険に出すな!
夫がかわいそうすぎるだろ! ん? 遊者(ライト)とレイラが見つめあっている? お互いに投げキスをしているようだ。
......まさか! お互いに婚約指輪。同じものだ! 待て待て! 旅に妻を同行させるな! 分かる。離れたくない気持ちは分かる。俺も魔王との旅で何度か辛い経験をした。が、そこは遊者なんだから、諦めろよ! こっちがやりづらいわ!
と言うか、カルバンは......もしかして気づいてないのか!
あいつの格好良さは評価通りということか。うといんだ。恋愛経験がないんだ。だから簡単なサインにも気づかないんだ。......多分猫耳はライトの趣味だな。もう一度言おう、装備の格差!
カルバンにも与えてやってくれ!
それと、力の平均値が安定していないのはどういうことだ?
まだある。クラスで三番目の評価がわかりづらい! 人によって違うじゃないか!
よくこのパーティーで魔王を倒しに行こうと思ったな。俺は遊者(ライト)を尊敬した。別の意味で。
「おい、自勇者(セブン)、お前のステータスも見せろよ」
そうライトが言ってくれたので隠さずに俺は見せることにした。するとライトは。
「......このステータス」
言葉を詰まらせたんだ。フフフ、コトの重大さに気づいたようだな。そう俺は!
最強の......
「数字がたくさんあるな」
ん? なんだ? そのコメントは? ちょっと思っていた答えと違うぞ。
『このステータスは最強じゃないか! 驚 俺はこんな凄いやつを仲間にしたのか!』
じゃないのか?
戦士(カルバン)も俺のステータスをじっと見ている。言ってくれ、そう俺は最強の......
「おいどんは3桁の数字は読めんたい」
おいどん! たい! しゃべりが個性的すぎる。 いやそこじゃない! 3桁が読めないという問題だ。
「そうなんだよ。俺もなんだよ」
グハァァァァァァァ。会心の一撃!!!
遊者(ライト)!!! お前は城で何の教育を受けてきた? 何をしてきた! ちょっと待て、これは先が思いやられるどころじゃないぞ。オモリをしながら魔王を倒しに行かなければいけないコトになる。絶対に勇者としての洗礼を受けた者でなければ入れない場所もあるだろうから、このパーティーを抜けて一人で行くわけにいかない。
俺が先回りをして倒してもいいが、それは【勇者】のやるような行動ではない。
もっと堂々と冒険をしたいのだ!
む、し、ろだ! 洗礼さえ俺が受けていれば一人で冒険をしたほうがすんなり魔王を倒せた気がする。それで俺は良かったんだ。満足したんだ。
それでも勇者ライフのために仲間を連れて冒険はするが選び抜かれたパーティーで勇者の足跡を作っていくと思う。
だが、しかし! これは一人で冒険をするよりもハードルが高すぎる。頼む誰かまともな人よ。現れてくれ!
俺の頭がショートし始めた時、俺のステータスを見て、レイラが笑い始めた。
「ライト、カルバン、貴方達この数字が読めないの? 可笑しい」
まともな奴いた! なんだ? たった3桁の数字を読めるといっただけなのにこんなに感動するとは思わなかった。さすがは伴侶だ。教養を少しは受けているようだ。ライトのことで困ったらまずレイラに相談した方が良さそうだ......
「この体力の数字は999(きゅうきゅうきゅう)って読むのよ」
俺は膝から落ちた。体の力が全部削がれてしまった感じだ。
精神力が0だ。息絶えてしまいたい。
レイラは魔力を使うことなく【精神力を奪う魔法】でも使えるというのか?
パーティーの中で(3人もいるのに)たった3桁の数字を読める奴がいないなんて。
「そう読むのか! だったら力は255(にーごーごー)だな」
「正解よ!」
不正解だ!
「ということはごわすと、魔力は......しちとゼロが上と下に横にあって三つでごわすな」
大不正解だ!
「正解よ」
伴侶(レイラ)よ。教えてくれ。俺は誰を信じたらいい? 何を信じたらいい?
問題だらけのこのパーティーをどう立て直していいか。時間をくれ。
俺の凄さを伝えるはずだったのだが、逆にパーティーのダメさが露骨に出てしまった。
「おい、セブン、何をしているんだ? 地面を調べても金は落ちていないぞ。タンスや壺あたりじゃないと」
なんのアドバイスを受けているんだ俺は。全身の力が抜けてしまったのは誰のせいだと思っていると言いたかったが、それを言ったところで理解もしてもらえないだろうから......止めた。
俺は力のない両足を力のない両手で支えながら、なんとか立ち上がってこう言った。
「いやあ、遊者様(バカ)とご一緒出来ると思ったら緊張の糸がほどけちゃって」
「もう俺らは仲間じゃないか。気を使うことはないぞ」
......仲間だと思われたくないんだよ! 分かるよな? それに本当に気を使わなくていいのか? 絶望が見えるぞ。もし俺が本性を表わした結果、冒険を辞めると言われても困る。俺は絶対に魔王を倒すのだ! ああもう! 全部、王様(あいつ)のせいだ。王様(あいつ)のせいだ。
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