第3話 ステータスを確認しよう①

  俺は遅れてアリナイの酒場を出ると、勇者(ライト)達が待っていてくれた。

 まだ信頼関係が築けてない間は下手に出るに越したことはない。


「すみません。みなさんとお別れの挨拶をして遅くなりました」

「相方と別れるのは辛かったよな? ごめんな」


 ......勇者(ライト)よ、武道家(あれ)と俺がコンビに見えたのか? どこまでこいつの頭は幸せなんだ。お前の言う相方を吹っ飛ばして出てきたんだぞ。勇者(ライト)の目には何がどう映っているのだ?

 性格の難はある程度理解した。使い方次第ではなんとかなる可能性はある。

 俺が一番知りたいのは【ステータス】だ。ステータスによっては魔王の倒し方も変わってくる。

 いっぱしの王子ではあるため、ある程度の教育は受けているはずだし、勇者になりたいと自分から言うくらいだから多少、腕に自信がないとそうは言わないだろう。

 俺は今後の戦い方を知るために三人にこういった。


「あの、仲間になっていきなりで申し訳ないのですが、ステータスを見せていただけませんか? ほらお互いのことを深めあった方がいいと思いまして」

「それもそうだな」


 まずは勇者(ライト)のステータスから見ることにする。


【名前】  ライト

【称号】  アリナイハンの王子 【遊者 (ゆうしゃだよ☆)】

【レベル】  1

【体力】   3

【魔力】   3

【力】    3

【防御】   3

【素早さ】  3

【格好良さ】 まあまあ


【使える魔法】 

 なし


【武器】     煌めきの剣

【防具】     煌めきの鎧

【盾】      煌めきの盾

【兜】      煌めきの兜

【アクセサリー】 婚約指輪


 .......オール3!! 弱い! 弱すぎる! えっ! 今まで何をしていたんだ?

 始めの冒険のステータスってこんなものだったか? それにマジックで描き足されている【遊者】だが、漢字が間違っている! 

 しかも補足の【ゆうしゃだよ】の文字! 調べろよ! そして☆を付けるな! 

 嘘だろ? これじゃあただの【遊者=遊び人】じゃないか! 

 それに何だ? 武器防具の充実さ。これから初めて旅するとは思えないほど充実しているじゃないか! 王様(あいつ)、俺には何も与えてくれなかったのに、遊者(ライト)には国宝級の装備を渡しやがったな。親バカも大概にしろよ。こういうのは魔法の鍵など中盤でしか手に入らないアイテムでいただくレベルのものじゃないのか? やはり一度、王様に焼きを入れないといけないようだな。

 ......ん? アクセサリーに婚約指輪? まあ18歳の王子ともなれば婚約する相手くらいいるか。ただ、戦闘には必要ないので外していただきたいものだ。

 俺は遊者(ライト)に期待してもいいのだろうか?

 遊者(あそびにん)だから面白い人を選ぼうとしていたのかもしれない。......先が思いやられる。

 だが遊者(ライト)がダメでも他の二人はまともだろう。俺はまず戦士のステータスを確認することにした。


【名前】  カルバン

【称号】  戦士【?】

【レベル】  1

【体力】   8

【魔力】   0

【力】    1

【防御】   5

【素早さ】  20

【格好良さ】 モテない

【使える魔法】 

 なし


【武器】     なし

【防具】     旅人の服

【盾】      なし

【兜】      なし

【アクセサリー】 なし


 ほほう、名前はカルバンというのか。で戦士【?】 ってなんだ! 戦士じゃないのか? 戦士だよな? 戦士という認識で大丈夫だよな? それに素早さが異常に高い! だが戦士として大切な力が低すぎる。本当に戦士なのか? 戦士として接していいのか? 俺の疑問通りの【?】なのか? ダメだ考えてもわからない。次の疑問点に行こう。

 ......装備の格差だ! ライト! ちゃんと装備を与えろよ! お前ばかりいい思いすんじゃねえよ。

 戦士に素手で戦えというのか? 棒でも何でもいい、持たせてやれよ! 戦士が戦力にならなくて何になるんだ? 下手したら、さっき俺が吹っ飛ばした武道家の方がまだ使い道があったような気もするが......頭が痛い。戦士(こいつ)はまだ使い物にならない。せめて装備だけでも遊者(ライト)にお願いするところから始めないといけないな。

 ......整理したいことが山積みすぎる。さすが遊者だ。

 気を取り直して、次に僧侶の女性のステータスを見ることにした。

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