第3話

 カルロッタがその違和感に気付いたのは、ロベルタに手ほどきを始めてから数ヶ月ほど経った頃だった。彼女が教えていないステップをロベルタが踊ってみせたのだ。

 ロベルタは基本的に家の外に出ない。カルロッタ以外のダンスを見たことはないはずだ。

 カルロッタはロベルタに尋ねた。

「今のステップは、どこかで見たの?私が教えたものとは違っていたようだけど……」

 その問いかけにロベルタは、

「できる、と判断したのでやってみました」

 とだけ答えた。

 それからも、ロベルタのアンドロイドらしからぬ行動は続いた。基本的にアンドロイドは持ち主の指示がない間は待機しているものだが、ロベルタは違った。指示と指示の間の時間を見つけては、カルロッタに言うのだ。

「自分のダンスを見てほしい」

 と。それはまるで、ロベルタ自らがダンスの上達を望んでいるかのようだった。

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