魔王様とぴゅあぴゅあハーレム新人。
「ところでだーりんはこれからどうするんだべ? 星降りの民ってどのくらい残ってるべさ?」
俺達は大体の状況を説明しつつ、一度万事屋に戻る事にした。
ゲッコウがそろそろ帰って来てるかもしれないからな。
「サクラコさん……また新しい女の人連れて帰ったんですか?」
「違う違う。この子はこいつのだからあたしは関係無いよ」
万事屋に帰るなり、メイドに絡まれたサクラコが俺を指さしてそんな事を言う。
いや、俺のって訳でもねぇんだけどな。
「あだすチャコっていうべ。あだすの全てはもうだーりんのものだべよ♪」
チャコの発言にどよめき出すメイド達であったが、概ね好意的に受け入れられたらしくしきりにかわいいかわいいと撫でまわされていた。
獣耳と尻尾はたしかに可愛らしい。
変化した物とはいえそのふわふわなショートボブも似合っているし、大きな瞳はとても綺麗ではある。確かに。うん、まぁ可愛いよ。
でもなぁ……。だーりんとか言われても……。帰ったらめりにゃんになんて説明しよう……。
そうだ、その手があったか。
「なぁチャコ。俺な、実は結婚してるんだ」
「ほぇ? そうなん? さすがあだすのだーりんだべさ♪」
「……あっれー?」
思ったのと違う反応が返ってきてしまって困惑。やっぱりこの子の言うだーりんっていうのはそういう関係とは違うんだろうか?
「チャコ、おにぃちゃんは本妻が居て、そのほかに愛人が何人かいるからその一人って事で大丈夫だよね?」
「勿論だべ♪ こんな素敵なだーりんだもの沢山のおなごが集まってくるのは仕方ないべさ♪」
「……だってさ、おにぃちゃん」
ショコラがニヤリとこちらを見て笑う。
あーそうですか。そうですよね……どうしようマジで。
「カカカッ! いいじゃねぇかお前のハーレムにまた一人新しい女が加わったって事で喜んどけ」
生憎と俺はサクラコほど今の状況を受け入れきれてないんだわ。
そもそもハーレムを作った覚えもない。もしあれがハーレムだというのであれば俺が我慢する必要一切無くなっちゃうし早く元の身体に戻りたいところだけど。
いや、ダメダメ。今はそれどころじゃないんだからその先の事はまだ考えちゃダメだ。
勿体無いとかちょっと、少し、わずかばかり思うけれどそれはそれ、これはこれ。
そもそも俺の周りにいる女子達はみんな外見が幼過ぎるんだよなぁ……。
ショコラは妹なので論外として、めりにゃんとアシュリーはその最たる物だろう。
めりにゃんも本来の姿を取り戻していろいろ大きくはなっているけれどそれでもまだ幼い。
アシュリーはいろいろ幼い。
実年齢がどうとかじゃなくて、こっちが犯罪者の気分になってくるから……。
だったらろぴねぇならいいのかって話になるけどそれはそれで問題があるんだよ。だって俺の妻はめりにゃんだから。俺はなによりもめりにゃんを優先してやらにゃならんし、そうしたいと思ってる。
だからうっかり手を出す訳には……!
「おにぃちゃんがエロい妄想してる」
「しとらんわいっ!!」
「いや、絶対にしてたね。今のはそういう顔」
なんで分かるのこいつ……。人の心まで読む力があるんじゃないだろうか。
「そういう事ならあだすに言ってくれればなんでもお望みのままだべ♪ どうしたらいいべさ。手でも繋ぐけ?」
……あっ、こいつピュアだ。
「そ、それとも……腕でも組むけ? やだあだすったら照れてまう……!」
「おにぃちゃん……どうするのこれ……」
「お前のせいだろうが! 俺に聞くな!!」
チャコはどうやらそっち方面には疎いようで、頭の中がある意味お花畑である。ピュアっピュアのピュアだ。
「おにぃちゃん、私……我慢できなくなったらごめんね」
「ごめんじゃねぇよ手ぇ出すんじゃねぇ! こんな純粋な子をお前が汚すな!」
「純粋とか照れるべ……」
「……私綺麗な物見ると滅茶苦茶に汚したくなるんだよね」
「妹のそんな性癖聞きたくもないわ!」
そこで、入り口の方から湿った声が聞こえた。
「ゲココッ……どうやらもう皆さんお揃いみたいですな」
「おお、蛙じゃねぇか。お前一人でどこ行ってたんだ?」
「姐さん、あっしはちょっと気になった事があって……いや、まずはお茶でもくだせぇ」
ゲッコウがソファに座り、メイドから渡されたあっついお茶を必死に冷ましながらゆっくりと口をつける。
「で? どこ行ってたって? そんなに遠くに行ってたわけじゃなさそうだが」
俺の質問にゲッコウは「遺跡でさぁ」と答えた。
遺跡……?
「あぁ、プリ……メアと一緒に行ったあの遺跡か? あれがどうした?」
「ちょっと待ってくだせぇ。なんだか一人お嬢さんが増えてやせんか?」
「あだすチャコって言うだ。だーりんの愛人になっただよ!」
「……」
ゲッコウが目を細めて俺をじとーっと見つめてくる。やめろ、何が言いたいかは大体分かってる。
「こいつは荒神のチャコ。マングーの地下で見つけて仲間になったんだ。よろしく頼む」
「そりゃまた……大収穫ですぜ旦那。……それでどうして愛人になっちまったのかは聞くだけ野暮ってやつでしょうな……奥方への説明、頑張ってくだせぇ」
そう言ってゲッコウは「げこり」と喉を震わせた。
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