妹的に反撃開始。
「う……ん……」
「起きたか?」
「……ここか? ここがえぇのか……?」
「こいつ寝ぼけてるのか……? おい、やれ」
「分りました」
ざっぱぁん!!
「……ん?」
気が付くと、私はちゃんと生きてた。
身体がなんだかじっとりとしている。
どうやら私は柱かなにかに括り付けられていて、頭から水をぶっかけられたみたい。
「うー。つめたいなにすんの?」
「黙れ。発言は許可していない」
なんか私を取り囲むように沢山の人がこちらを睨んでいた。
目の前に居る女の人は顔立ちは結構綺麗。切れ長の目で、ワイルドな感じの長髪。
あんまり手入れとかはしてないのかボサボサだった。
女戦士、って言葉が一番しっくりくるかもしれない。
もう日が昇っていて周りは明るいのにあまり暑くない。
辺りを見渡してみると、もう砂漠の中じゃなくて、結構草とか生えてる。あと、大きな川。
もしかしたらあの崖の下が川だったのかな。
だとしたら川に落ちて下流に流されてきたって可能性が高い。
どうよおにいちゃん。日頃の行いがめっちゃいいから崖から落ちたって生き延びられるんだよ?
それはそれとして、これどういう状況だろう?
川から少し離れたあたりから木がまばらに生えていて、大きな岩とかもごろごろ転がってて、緑色の苔みたいなのが生えてる。
空気は全体的にじめっとしていて、今までいた砂漠とは随分環境が違うみたいだった。
「私砂漠の崖から落ちたんだけど……ここどこ? 私流されてきたの?」
「黙れ! 発言は許可していないと……」
「……シャリィ、待ちなさい。その少女の話を聞きましょう」
「ですがキャナル様。こいつはジラールの集落からのスパイに決まっています!」
女の人達の中から一人、やたら豪華な服を着た人が現れて、私に文句言ってる人を諫めている。
どうやらキャナル呼ばれた豪華な服の人が一番偉い人っぽい。
「偉い人もそう言ってる。人の話聞かない人は嫌い」
「なっ、なんだと? 別に貴様に嫌われようとどうでもいいが、偉そうな口を叩ける立場じゃないのを理解しろ!」
そう言ってシャリィと呼ばれていた女が私に向かって鞭みたいな物を振り下ろした。
けど、私はその軌道を読んでぱしっと受け止める。
私を縛ってた縄はとっくに解いてタイミングを見計らっていた。
「なっ、き、貴様いつの間に!! 油断のならないやつ……キャナル様! 話を聞く前にこいつの身動きを止める許可を!」
シャリィは顔を真っ赤にして叫んでる。
周りに居る女性たちも殺気立った目をこちらに向けていた。
「キャナル様!」
「私は反対です。……しかし、こう皆が殺気立っていては言っても聞かないでしょうね。仕方ありません。あくまでも身動きを取れなくするだけです。必要以上の暴力は控えるように」
「ありがとうございます!」
キャナルの言葉に私を取り囲む女性たちは棍棒のような武器、鞭のような武器といった、殺傷能力よりも行動不能に陥らせるための道具を手に取る。
「ねー。そこのキャナルってお姉さん」
「キャナル様になんと無礼な……」
「あんたには話してない。キャナルさん、私、強いよ? この人たちがやる気だったら痛い目に合わせる事になるけどいい?」
キャナルは一瞬眉をひそめた後に、
「……この人数を一人で相手にしても勝てると? ……いいでしょう。それが出来るのならばやってみなさい。その代わり、そこまで吠えるのですから途中で泣き言は許しませんよ。シャリィ、気が変わりました。殺しさえしなければ構いません。やっておしまいなさい」
「許可が出たぞ! みんな、ブライの民の力を見せてやれ!」
「「うぉぉぉぉぉ!!」」
なんか盛り上がってるなぁ……。でも、許可がでたのはそっちだけじゃないんだよね。
「キャナルさん。ありがとう……できるだけ……殺さないようにするね」
まずシャリィの背後から誰かが鞭を振るってきたのでそれを掴む。
この人込みで鞭使うって事はよっぽど腕に自信があるんだろうね。
鞭を掴んだままくるくるっと腕に絡ませて、思い切り引っ張る。
私の力では引きずり出す事はできないけど、私に引っ張られた事で今度は相手が思い切り鞭を引っ張った。
私はその力を利用してシャリィを飛び越えるように、鞭の持ち主の頭上まで飛んで、頭を膝で挟みこみ、ひねりを利かせながら地面にその頭を叩きつける。
その様子を見ていた他の連中がざわつきながら私から距離を取った。
「だから言ったじゃん。……私、強いよ?」
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