ぼっち姫、お風呂で抱き合い大惨事。


「ずっと探してたんだよ……? おにいちゃん、おにいちゃぁぁん!!」


 なんとかショコラを背中から降ろして、体を起こすと今度は正面から抱き着いてきた。


 あったけぇなぁおい。

 さすがに妹とはいえこれだけ会ってなかったらほぼ他人みたいな感覚なんだよなぁ。


 だから、何が言いたいかっていうと、これはまずいって事だ。


 今俺の体が女で良かったって初めて思った。

 何でかは説明したくない。



「ちょっと、離れろって」


「やだ。やだよ。やっとおにいちゃんに会えたんだよ? 絶対離さないからっ!」


「なんだか風呂場から女子の声がするのじゃっ!!」


 うげっ、騒ぎすぎた!!


「ど、どどどどういう事ですか!? 今は姫がお風呂に入ってるはずでは……」


「セスティ以外の女の声じゃ!!」


「なんですって!? 急いで確認しましょう!!」


 こんでいいこんでいい!!

 てか来るな!!


「嫌な予感がするのじゃ! すぐに行くのじゃっ! って、お前らはこんでいい! 変態どもめ!!」


「姫の入浴を覗こうなどと不届き千万!!」


「ち、ちがうっすよ! 何かトラブルかと……」


「そうなのである!! ただ、心配なだけなのである!!」


「うるさい死ね! 地獄におちろ!」


 ズドガァァァァン!


「うわぁっ、ナーリアがほんとに撃ってきたぁっ!?」


「ひぃぃ! この体では本当に死んでしまうのである!!」


「くっ、こんな時にほぼ必中を外すなんてっ!!」


 ガラガラっ!


「セスティ! いったい何があった……ん……じゃ……?」


 説明が必要であろうか?


 俺は今とてつも無い地獄の中にいる。



「なっ、なななな何をしとるんじゃおのれらーっ!?」


「メリニャンどうしましたっ!?」


「せ、セスティが裸の女と抱き合っておるのじゃーっ!!」


「ななななななんですってぇぇぇぇぇっ!! それは私も今すぐ入りに行きますぅぅ!!」


「それはそれで何か違うのじゃー!!」



 俺は、怒涛の展開に頭がついて行かず、まったく身動きとれずにいた。


 ショコラはその間もずっと俺に抱き着いていて、


 それを見ためりにゃんは顔を真っ青にしてあわあわ言ってて、


 そのめりにゃんの背後から凄い勢いで風呂場に突入してきたナーリアが俺とショコラの状況を見て「ふっ、ふぉぉぉぉぉ!!」とか言いながら鼻血を噴き出して気を失って、


 そして、ジャックス邸はガラガラと音を立てて崩れ落ちた。

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