第3話音楽鑑賞部の衝撃



「えーと、じゃあ、まず俺から自己紹介するね。俺は1年生の山田敬浩です。どうぞよろしく」

「よっよろしくお願いします!!」

少し不意を突かれたように彼女は、おどおどしながら気をつけをして言った。

さぁ、俺はもう言ったぞ。次はお前達の番だぞ。早くなんか言えよ間が持たないだろう!!

俺は必死に目で「なにか言えよ」というフレーズを伝えようと3人を見つめ続けた。

そしてようやく、3人の口が開いた。


「フッ、あなた相当物好きなようね。こんな寂れた部活に入部しようなんて普通は、考えられないわよ?」

千鶴先輩そう強い口調で質問をした。

初対面の人にこんな事を言えるなんて・・・・・・なんて失礼なんだ。

背中に軽く汗を滲ませながら俺は話を聞いた。

「...圧迫面接かよ...」ボソッと聞こえるか聞こえないかぐらいの声で言った。

彼女は、それに答えるように口を軽く開けた。

「そうですかね?ここいい部活だと思いますよ!」

「具体的にどの辺が?」

「そうですねー、先輩が優しいところですかね!」

「あー、さっきの敬浩の対応ね。甘いのよ、あんたは!!」

なんで俺今怒られたんだ?いい事したのに・・・・・・理不尽とはこの事だ。軽くショックを受けた。

「とにかくそこですかねー。優しいのが1番だと思いますよ」

「じゃあ、私は?私はどうなのよ?」

うわー、この人ほんとに意地悪だわ。そんな、返答に困る質問してあげないでよ。この人、絶対面接官だったら嫌なタイプだよ。薫ちゃんは、なんて答えるんだろう?


「千鶴先輩は、とっても美人で可愛い先輩だと思います!それに頭も良さそうで、インテリな雰囲気が漂っていて素敵です!!」


この子は、凄いね。天使かよ。仏かよ。神かよ。薄汚れた俺の心がキリキリと縛られてるみたいで痛いよ。マジでパネェな。

さっきからこっちを見ている千鶴さん以外の2人の顔も何処と無く、暗くなっている。きっと、さっきの俺みたいに心に何か来ているのだろう。


それで千鶴先輩の反応は・・・・・・

「べ、別にそんなことを言われて素直に喜ぶ私じゃないんだからねッ!!」

・・・・・・・・・・・・まさかのツンデレ属性発動かよ!!!!

先輩の顔が少し赤くなっている。満更でもないようだな。

すげぇーな、千鶴先輩キラーだな。

千鶴さん早くもキャラ崩壊か...この先大丈夫かよ。

「まぁ、私は貴方が入ろうと関係無いから別に好きなように入ったらいいんじゃないの。それだけよ」

千鶴さんに勝っちゃたよ、ここにいる千鶴さんと薫ちゃん以外の3人が目を丸くしている。

そう思っていたら、春樹先輩が席を立ち俺の方に歩いて来た。


「どうしたんですか?春樹はん?」

「どうして、京都弁なの?まぁ、いいわ。それより怪しいと思わない?あの娘...」

「どぉいう意味ですか?」

「なんというか、裏があるて感じね。あの子の笑顔は、少し変なんだよね」

春樹さんの顔は、真剣な顔をしている。この顔をしている春樹さんは俺を襲うことはないからひとまず一安心だ。それと同時に別の不安が心の中に現れた。

確かに春樹さんの言う通りだ。

彼女は、相手の喜ぶ事を察して言っている気がする。何となくだが確信を突いている自信がある。

光には、必ず影が生まれる。それと同じで彼女にも秘密があるのかもしれないな。

「そうですね。少し怪しいですね」

「ほら見て、たかちゃんあれを!」


春樹さんが目で合図を出した。その先にあったのは驚愕の光景だった。

「マジか!!!!!!」

俺と春樹さんが見たのは・・・・・・


「時雨先輩凄いですね!!肌綺麗だし、スタイルいいですし、それになんと言っても美形過ぎませんか先輩の顔!!羨ましいです!」

「えへへー、そう?薫ちゃんも可愛いよ。そうそう、一緒にお菓子食べない?いっぱいあるよー」

「食べます!!」


あのゲーム廃人の時雨があんなに簡単に仲良くなってる。あいつと仲良くなれる人なんてゲーム実況者ぐらいかと思っていた。それか、ネトゲ廃人ぐらいかなと...。


「ね、恐ろしくない?」

「恐ろしいです。あの時雨が落ちるなんて。あの元ボトラーの時雨が仲良くなるなんて信じられない。実際起きたけど・・・・・・まだ信じられません」

「えぇー、私もよ。恐ろしい子だわ!!あと、ボトラーて軽く言ったけど結構衝撃大きいんだけど?」

先輩がガラスの仮面見たいな顔をして言っている。ふざけている場合じゃないと思うんだけどな・・・・・・

ちなみに、ボトラーとは、トイレをする時間がもったいないという事で部屋の中にペットボトルを起き、用をたしたくなったらボトルにするというネトゲ廃人の極みの事を言う。

なんで俺が時雨が元ボトラーという事を知っている理由は、また今度の機会で......。

このままだと色々やばいかなー。

そんな事を考えていると帰りのチャイムがなり始めた。もうそんな時間か。

「キーンコーンカーンコーン!!6時30分になりました。教室に残っている生徒は、速やかに下校してください」


心残りは、あるけれどもう帰らないといけないのか。

薫ちゃんは、もうこの部に入った気でいるようだけど、俺はさっきと違って反対だな。

まぁこの意見も千鶴先輩の独断で無効化されるのだろうから言わないけど・・・・・・やっぱり少し怖い。

そんな事を考えながら帰りの支度をちゃくちゃくとしていると彼女がこっちに歩いて来て何か言い出した。


「帰る時に校門前に来い。こなかったら時雨とか言う女どうなるか分かんねぇぞ」

さっきと口調が180度変わった。なんだこいつ?悪の組織みたいな喋り方するな。だけどこいつは、ひとつ間違いをしているな俺にとって時雨はどうでもいいんだよ。

「お前何考えてんだよ!」

「おーと、話は後だ、とりあえず今は心の準備をしておけよ。なーに、心配入らない。お前の昔の秘密についてちょっと、ばかし話があるだけだよ」

えらくハードボイルドだなこいつ。ゴルゴ13かよ。とつっ込みを入れたかったが我慢した。


「ん?かおちゃんどうしたの?」

「何でもないですよー。千鶴先輩」

「そうなら良かったわ。かおちゃんに何かあったら大変だからね」

あなた達はいつそんなに仲良くなったのですか?この短時間に!!


「じゃあ私はここで失礼しますね。今日は、ほんとにありがとうございました。明日からもよろしくお願いしますね」

そう言って音無 薫は、部室を出ていった。

彼女が部室を出る時にはっきりと僕の顔を見て笑った。薄気味悪く感じたのは、多分僕だけだろう...

その顔は天使の面を被った悪魔のように思えてならなかった。


「ふーー...」

いつもより二酸化炭素濃度が2割増しぐらいの重いため息をついた。


仕方がない時雨に何が起ころうが俺には関係ないが、せっかく俺が作ってきたぐーたらスペースを荒らされるのは癇に障る。

だからさっさと話をしに行くか。

「じゃあ俺も今日は、これでお疲れ様でした」

「二度と来んな虫けら!!!」

音無 薫が居なくなった途端に千鶴先輩はこれかよ...前より悪化してない?まぁ、仕方ないか。

「絶対また来ますよ」

そう言って音無 薫を追うように部屋を出た。

大丈夫きっと大したことでは無いはずだ。そう信じたいと思いながら次第に歩くスピードは、早くなっていった。

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