第2話音楽鑑賞部の無駄話
放課後に生徒は2つの種類に分かれる。部活に行くもの。早く帰るものに分かれると俺は思っている。
俺は一応前者に当てはまっている生徒だ。
俺の所属している部活の名前は、音楽鑑賞部。この学校の部活のヒエラルキーで言うとピラミッドの最下層の一番端っこら辺の扱いを受けている。
部活動は、名前の通りのものがほとんどだがこの部活は、違う。初めに言っておくが特に鑑賞はしない。
何をするかと言うと放課後は、ほとんど駄弁っている。内容は様々だ。
そんな部活が何で今まで存続しているのかがとても気になる。部員が言うのもあれだが、いつ消されてもおかしくないだろ!生徒会は、どうしたんだよ!
まぁ、おかげで放課後に楽な時間を過ごせるんだけどね。だから、何も報告することはない。
そんな部活の部長の千鶴先輩が何やら部室の机の上で気を使って何かを作っているのだが・・・・・・気になる。
とりあえず聞いてみた。
「千鶴さん・・・・・・何してるんですか?」
「うざい、黙れ、死ね」
いきなりひでぇな。まぁ、もう慣れたけど・・・・・・
今年の四月に入部した時に言われた事に比べるとまぁ、まだ良くなったかなと思えるな。あの時はほんとに酷かった・・・・・・
「さっさと帰りなさい!ドブネズミ如きがここにいる資格なんてないのよ!」
いきなりこんな事を言われたら流石の俺もショックだった。
とりあえずこの先輩は、筋金入のドSいやそれ以上の存在だと分かってくれ。
こう言われた時は、一旦引かずに質問を繰り返すのが、俺の導き出した先輩と接する時の答えだ。
「そんな事言わないで教えてくださいよ!」
もちろん笑顔は、忘れずに。
「ちっ!別にただの本棚よ。なんか問題あるの?」
なんで放課後にそんなの作ってんだよ。溢れそうな、内心を抑え込みながら話を続けた。
「へー、本棚とか作れるんですね。意外と器用ですね」
「あぁ!意外て何よ?私が器用だといけないの?」
「いや別に、そんなわけじゃないんですけど・・・・・・女子てあんまり工作しないイメージでしょ?」
「私に女子て言葉が似合うかしら?」
「おっしゃる通りで・・・・・・じゃあ何で、いきなり本棚なんて作っているんですか?」
「別に、ただの暇つぶしよ。放課後の時間は、たっぷりあるしね。有意義に使わないと」
そう言ってまた先輩は、作業に没頭し始めた。
「そうですかー」
はぁー、やれやれほんとに、なんでもありだなこの人。
以前にも、部室で本格的なクッキングをしたり、筋トレをしたりと自分の私物化をよくしているから、そんなに驚かないけどそこそこにして欲しいものだ。
「千鶴さんうるさいです」
今千鶴さんに反抗しながら隣で何やら怪しい事をしているのが俺の同級生である、秋雨 時雨(あきさめ しぐれ)だ。
正直言って2人とも美少女だ。俺調べだがこの学校の美少女ランキングベスト5に入っている。
余談だが、最近転校してきたあの・・・・・・リリ・・・なんちゃら天(そら)もこの2人に負けないぐらい可愛いかったな。
向こうは、性格も良いと聞いたから彼氏になる人は、幸せだろうな。羨ましい・・・
だけどこっちの2人は、はっきり言って顔はいいけど中身はクズだ!!いやそれ以上にやばいかもな。
まずこんな部活に所属している人間にまともな奴はいない。これだけは断言出来る。
千鶴さんがドSだとしたら、こっちの時雨はとんでもないヲタクだ。ヒキニートと言った方がいいかもな。
学校に来ているのが不思議なぐらいだ。
何でも中学の時は、学校に行ったのが3年間で3日とか・・・・・・正直信じられない。
そんな彼女が高校生になって登校し始めた理由は、別の機会に話すとして、とにかく彼女がとんでもないヲタクである事とその肩書きに似合わず、可愛い顔だということを知って欲しいのだ。
なんだろうな、神は人に二物を与えないとは、よく言ったな。
顔は、いいけど性格に難があり。これが一番この言葉を表すのにいいだろうな。
「あ、クソ、このっ、あ、ちょっと、クソこの雑魚がっ!!しゃっあー!!勝ったー!!今日も絶好調だぜっ!!あ、せんぱーいそこのポテチとってくださいよ」
こんな調子でいつも放課後は、この部屋で廃人のように携帯ゲームに没頭している。
ちなみに彼女のゲーム内Lvは、ゲーム内で神と呼ばれる程らしいけど、まぁ現実はクソだけどね・・・・・・羨ましくはないね。
ゲームのLvと現実のLvは、反比例すると俺はここから学んだ。
「全く皆駄目ね。乙女なのにそんなものしちゃダメでしょ時雨ちゃん。もっと、編み物とかお料理とかを趣味にしないとお嫁に行けないわよ。たかちゃんもそう思うでしょ?」
「えー、そうですね。女性らしさを出すには、そお言う趣味が一番だと思いますね」
「流石、私のたかちゃん分かっているわ~」
「えー、食事なんて何でもいいよ、それよりもゲームだよ!!」
そう言ってまたゲームに没頭する時雨を俺と春樹先輩は少しうんざりした目で見ていた。
先に言っておこう。春樹先輩は、男である。
ということは、口調から分かるようにいわゆる「おかま」ということだ。
さっきの2人に比べたら全然常識のある人なんだけど・・・・・・
俺は、今までに2回も先輩に食べられそうになった。思い出すだけで悪寒が身体中を走っていくようだ。
あぁー、この事は、あんまり思い出したくないのでここまでとします。あの太くてごつい手に掴まれた時に・・・・・・やばいな、急に鳥肌立ってきた。
俺は話を切り出した。
「それよりも、今四月ですけどこの部活勧誘とかしないんですか?」
『しなくていい!!』
満場一致で結果は出ました。まぁ、予想はついてたけどね。
「はい、じゃあその事を生徒会に伝えて来ますね」
こお言う雑用は俺の役割だ。てか俺以外する人がいねぇんだよな。
部室を出ようとしたその時だった。俺が開けるより先に戸が開いた。
「あのー、すいません。ここて何部なんですか?私て入れますか?」
そこに居たのは、いかにも普通そうな眼鏡を掛けた女の子だった。多分今年入った1年生だろうな。その子に俺はこう思った・・・・・・
「君はこんな変人ジェラシックパークに来ちゃダメだよ。入ったら最後、いつか精神的に死ぬよ」と。
「すいません。いきなり来ちゃって。また今度にしますね」
「いや、別に時間はあるからいいよ」
「じゃあ部活動見学していいですか?」
「え?まぁいいかな」
俺て意志弱いな。
「私は、1年生の音無 薫(おとなし かおる)です。どうぞよろしくお願いします。えーと、先輩達は、なんて呼んだらいいでしょうか?」
「・・・・・・・・・」
部室に沈黙が流れた。息をみんな止めているかのように静かだ。
まずいな。みんな黙り込んでやがる。どうしたよお前ら?びびってんのか?俺もだけど。だいたい突然押しかけて来るんじゃねぇよ。
まぁもう仕方ないけど・・・・・・
それでも段取りてものがあるだろ!突然すぎるんだよ!
俺は、椅子に座ってそんな事を考えながら、貧乏ゆすりをしていた。小さく早く小刻みに。
早く誰か切り出せよ!!
そう思っても誰も動かない。仕方ないやっぱり俺が言わないといけないのか。そろそろなんか言わないと向こうも泣きそうなので、仕方ないから重い口を開けた。
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