#8

真帆には1つ、気になっていたことがあった。

「あのさあ。」

「ん?」


「お父さんとお母さん、あんな朝早くにどこ行ったの?」

優太はため息をついて、スプーンを置いた。

「父さんと母さんは、晶紀おばさんとこに行ったの。」

「何しに?」

「ほんと、何も聞いてないんだな。」


優太はそれ以外何も言わなかった。


「ごちそうさまでした。」

「ごちそーさま。」

「ごちそーさまでしたっ!」


なんとか夜ご飯を食べ終わった。後は片付けをして……と思ったが、洗濯物を畳まないといけない。

洗濯物はまた後にすることにした真帆は、洗いものをし始める。


3人分の食器を洗い、食器乾燥機に入れる。たったそれだけのことでも、今日の真帆にとっては「もう無理…」とつい言葉に出るほどだった。



へろへろになりながら洗い物を終わらせた真帆。

「ねえ、おねえちゃん。」

「楓?どうしたの?」


「今日、だれとお風呂入ったらいいの?」


楓のひとことで

「あーーー!」とまた真帆が叫んだ。



驚いて泣き始めた楓。

「ねーちゃん、うるさい。」

と自分の部屋から出てきた優太。



「優太!暇?お風呂掃除して!」

「いや…だから、宿題…」

「そんなの後ででいいでしょ!」

「うわあああん!」

「ほら、楓泣いちゃったじゃん。」

「誰のせいよ!」



何を言っても、優太は何もしそうになかったので、仕方なく真帆はお風呂掃除を始めた。

掃除が終わり、お風呂にお湯を溜め始める。

さあ、洗濯物…と思ったそのときだ。



「おねえちゃん!一緒にあそぼ!」

楓が人形を持って真帆のとこに来た。

「ごめんね、洗濯物畳まないといけないの。」

だからひとりで遊んでいてね。と頭を撫でたが、楓は少し泣きそうになってしまった。



泣きそうな楓を横目に、洗濯物を畳み始める。ちょうどお湯も溜まった。



今日の真帆にはもう、何からどうすればいいか全くわからなくなってきた。

頭が回らない。

限界まで来て倒れそうになるんじゃないかと、真帆の疲れはピークに達していた。




「ただいまー!」


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