#7
帰宅したら、既に優太が居た。
優太はスマホをいじりながら、真帆と楓を見るなり「あ、おかえり。」と言い、また目線をスマホに戻した。
優太の態度にイラッときたが、それどころじゃない。すぐに冷蔵庫を開けた。
鶏肉、キャベツ、卵…と冷蔵庫には材料があった。
もう17時になろうとしている。今から何を作ろうか考えて、作り始めると、かなり時間がかかる。
「優太ー。夜ご飯どうする?」
「夜ご飯なあー…」と適当な返事がきた。
「夜ご飯なあー…じゃなくて真面目に考えてよ!」
優太はスマホを机に置いて、冷蔵庫の中を見に来た。
「今から作ってもかなり時間かかると思うんだけど。」
「同じこと思ってた。」
うーん。と優太は考えてみるが、優太も思いつかない様子。
「冷凍食品とかに頼るしか無いかもなー…」
冷凍室を開けても、市販の冷凍食品はひとつもない。
「レトルトカレーとか?」
「レトルトカレーねぇ…。」
探してみたが、レトルトカレーなんてものは見つからなかった。
迷っていたら17時半になってしまっていた。
「買いにいくしかなくね?」
「優太買いに行ってきて!」
「いや、俺宿題あるし。」
優太は逃げるように自分の部屋に行った。
何もしない優太にイライラしてきたが、イライラより呆れのほうが大きくなってきた。
4歳児を留守番させておくわけにもいけないので、真帆は楓と近くのスーパーに向かった。
レトルトカレーだけを買って、すぐに帰宅した。急いでお湯を沸かして温める。5分後に鳴るようにタイマーをセットした。
その間楓はおもちゃで遊ばせておく。いつも母がそうしているように。
すぐにタイマーが鳴り、火を止めた。案の定、洗濯物は干しっぱなしだった。優太は何もしないのだ。
「あいつー!」
急いで洗濯物を取り入れて、とりあえず洗濯カゴの中に入れる。洗濯物は後で畳むことにした。
ごはんを盛り付け、ルウを入れる。真帆が
「優太!ごはん!」とわざわざ優太の部屋まで呼びにいく。
優太は「あ、出来たんだ。」と言ってイスに座る。
「出来たんだ。じゃないでしょ!そう思うなら、あんた手伝ってよ!」
「ママのカレーライスとは違うね。」
4歳児ってなんて正直なんだろう。と2人は思ったに違いない。
「パパもママもごはんいらないの?」
「連絡ないからわからないんだよ。」
いただきます。と優太はやっぱり冷静に食べ始める。
「あんたねー!」
またイライラする真帆の横で、楓は元気よく両手を合わせて、いっただきまーす!と言って食べ始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます