#3
「ごはんとか。」
「あーーーー!」
突然、真帆が叫び出す。「うるせぇ…」と言って耳を塞ぐ優太。驚いて泣き止む楓。
「お弁当!!朝ごはん!!」
真帆は急いでキッチンに向かい、冷蔵庫を開けた。
「まだ6時半だしなんとかなるでしょ。」
「なんとかなるじゃなくて、優太も手伝ってよ!」
「あ、俺朝練あるんで。朝ご飯もお昼も適当にコンビニで買って食べるから。」
それじゃあ。と言って玄関のドアがパタン。と閉まった。
「あいつーーー!」
真帆の怒りは、なかなかおさまりそうにない。
「おねえちゃん、おなかすいた。」
「楓、おにぎりでいい?」
コクっと小さく頷く楓。
真帆は急いで炊飯器を開けて、昆布と鮭のおにぎりを作り、楓に食べさせた。
「あー、私もなんか食べなきゃ!」
真帆もバターロールを急いで食べる。
「ごちそーさまでしたっ!」
楓は食べ終わると「テレビ!」とルンルン気分で自分の世界に入った。
「お母さん、いつも何してたっけ?」
うーん…と考えるが思いつかない。そりゃそうだ。食べ終わったら、真帆は自分の部屋に直行して、友人とLINEをするから。
真帆はとりあえず、洗いものをする。するべきことはたくさんあるが、何からしたらいいかわからない。
「洗濯!」
急いで洗濯機に服を入れ、洗剤も入れてスタートボタンを押す。
「洗濯はこれでいいとして…」
と洗面所から出ようとしたら
「おねえちゃん!トイレ!」
と楓の叫び声がリビングから聞こえた。
楓はまだ4歳だから、ひとりではトイレは出来ない。だから、こうやっていつも誰かを呼ぶのだ。
無事、楓はトイレを済ませて、またテレビの世界に行った。
まだ7時過ぎ。なんとか洗濯は終わりそうか。
真帆は自分の部屋に戻り、急いで身支度をする。
友人からたくさんLINEが来ているが、それどころじゃない。
「あ、私のお昼ごはん…。」
まあいいか。食堂で済ませよう…。
身支度を終えると、ちょうど洗濯が終わった。
急いで服や下着、タオルを干す。
急いでいるからか、干し方がすごく雑になってしまった。
「しょうがない…。」
真帆は自分に言い聞かせた。
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