鳥って小さいもんなあ。


きっと脱水症状が出たら、対処できずに大変なことになるに違いない。小動物って数グラム体重が減るだけでもヤバイって言うもんね。当然ながら子ども達は水の入ったうれしいおいしい容器なんて持ってこない。ああクソ、このさい海水でいいから水がほしい。


 小学校のころのタンニンのセンセーに、海でソーナンした時まわりにある海水なんか飲むとしょっぱいからもっと欲しくなって、死ぬまで飲み続けるとか聞いたなあ。

友だちいなかったから、学校のことを思い出すと、こんなくだらないことばかりが思い浮かぶ。


 頭の中の『ガッコーでのたのしいおもいで』のカゴにはゴミも入っていない。『ガッコーで習ったこと』の入ったカゴにはかろうじてさんすーとコクゴのカンジがはいっている。とかおもいつつ、さっきからあたまにカンジがうかんでこなくなってる、ああ、しぬのか。どうしたおうじさま、おむかえにくるがわにおむかえがくるとか、しゃれにしてもおもしろくないぞ。


 すっからかんの、たのしいおもいでのカゴをみせたほうが、ウケるんじゃないか。

ああそうだ、ひとつだけたのしいおもいでを、ぼくはもっているじゃないか。ユキカとであったとこと。ユキカとあそんだことだ。


 ユキカはユキカであったり、おひめさまであったり、あかいずきんのおんなのこだったりした。どれもかわいかったなあ。いまもかわいいけど。ああでも、がっこうのそとでのおもいでじゃあカウントされないか。


 いまめのまえにいる、かわいいユキカはないている。ちからつきてよこたわったボクのカラダに、はなびらみたいにかるいカラダをおしつけてないている。かいすいみたいなナミダをながしながらなにかいっているけど、まるでテレビのセッテイをオトなしにしたみたいに、きこえない。


 口がパクパクいってるだけだ。ドクシンジュツはつかえないけど、ちいさいころずっといっしょにいたからユキカのコトバならなんとなくリカイできる。


 ──シなないで、シなないで。


 ユキカになぐられたトキもいたかったから、きっとシんだらほんとうにシぬんだろうなあ。このちいさいときにあこがれたセカイで。なんていうと、ロマンティックなんだけど。いやだなあシぬの。たいしたことないジンセーだったけど、シぬとなるとイヤみたいだ。つぎのひがっこうにこなくてもだれもきづかないくらいクウキなくせに、なんでイヤなの? っていわれると、まあ、


 またユキカにあえたからかな。どうせシぬなら、もうちょっとイッショに、いたい。

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