4
「それで、ここが一番、面白い場所なの?」
「そうです」
観覧車に乗ってはしゃぎ回ったり(遠くに見える景色は真っ白で何も見えなかったけど)おかしな人達と一緒に、ジェットコースターに乗って大騒ぎしたりした後やって来たのは、一つの白い扉の前だった。
扉と言っても、普通の扉とは違って、僕の腰の辺りまでしかないし、扉がついてれば普通はあるはずの壁は無いし、扉の左右には扉と同じ色の白い柵が、どこまでもどこまでも伸びている。
どうも、ちょっとおしゃれな一軒家の庭の周りにある、裏口のようなものであるらしい。庭なんてどこにもないけど。まあ敢えてツッコミは入れるまい。
「きっと楽しいですよー、わくわくしますよー、テンション上がりまくりですよー」
うきうきしながら腕をブンブン振る雪華だが、僕には一体何がなんだかさっぱりわからなかった。
いや、常識的に考えてはいけない。
ここは『ネバーランドよりも楽しいところ』であって、まともな考えが通用するところじゃないんだ。
「しっかり捕まっててください」
雪華が僕の手を握る。
今日で何回目だろう。
一向に慣れない。
こんなに細くて形の良い指のどこから人一人をぶっ飛ばすパワーが湧き出してくるのだろう。
「今から、面白いことが起きますから」
言って、雪華はドアを開け、開いた先に足を踏み入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます