#56 ろりこん更生委員会、出動!
「ねぇ、朱ねぇね?シャロットちゃん、見なかった?」
藍音は夜遅くなっても帰って来ないシャロットを気遣い心配している様子だ。朱音の首を傾げる。
「どうせ何処かで小走りしてるんだろうけど……もしかしたら紺兄のとこにでも行ったのかな?」
二人がそんな事を話していると那月環奈が外を指差して大声を上げた。
「皆んな、空見て!」
「どうしたの?雪?」と凪子も窓の外を見た。
全員が空を見上げ、大きな瞳を瞬かせる。
空の色が、消えていく。空だけではない、家も車も、地面も、その全ての色が消えていくのが見える。朱音は咄嗟に叫んだ。
「み、皆んな私の周りに!はやく!」
その声に反論する者は勿論いない。皆は朱音の言う通り、一箇所に固まり身を潜めた。
朱音は魔力を解放、時間の止まり行く世界を拒絶するべくその場の全員に炎のオーラを纏わせる。所謂バリアの効果を発揮するオーラのおかげで、周り全てが色を失った状態でも行動が出来る。
「こ、これ……」と、せつなは震える声で漏らす。
「あ、あたしも何となく……知ってるよこの感じ……」と凪子はため息をついた。
「ど、どど、どうなってるの?」
みくりは藍音に抱きついて小さくなり、藍音はそんなみくりの頭をよしよしと撫でる。
環奈は朱音に説明を促した。朱音は自分の分かる範囲で、これが恐らく皆んなを襲った闇喰という人ならざる者の仕業ということと、今その対象になっているのが彼だということを告げる。
「多分……こ、紺兄が狙われて……」
「ヤバいじゃんそれ!お兄さん強いのに、そんな怪物に操られちゃったら……」
凪子は自分の中の記憶が蘇って来たのか、複雑な表情で言った。
朱音の身体がビクッと反応する。
「……く、来る……こっちに近付いて来る?」
「朱ねぇね?どうしたの……?……はっ!……な、何コレ……何か……来る!」
「に、逃げないと……紺兄が来る。多分、取り逃がした私達を取り込む為に……闇喰が……逃げるのは無理?……と、とにかくここは駄目!こ、こうなったら広い場所におびき寄せて迎え討つしかないよ!お願い、皆んな……力をかして!今動けるのは多分私達だけ……シャロットの馬鹿がいないなら私達で何とかしないと!」
各々、紺に助けられた事を思い出したメンバーは皆静かに頷く。
「任せてよ、今度はあたしが助けてあげる!」
「仕方ないお兄さんだわ?引っ掻いて目を覚まさせないと!」
「み、みくりは弱いけど、お、応援する!」
「チューってして無力化……!」
「朱ねぇね!が、頑張る!」
全員の気持ちは一つになる。恐らく暴走しているであろう兄、無の器、当真紺を迎え討つべく、家を飛び出し大きな公園まで向かう事にした。
「行くわよ皆んな!
ろりこん更生委員会、出動!」
「「「おおぉーー!!!!」」」
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