#48 シャロット奮闘なのよ!
『全く、なんてめちゃくちゃな作戦を考えるのよ!……第一、わたちに戦闘能力はあまりないのよ、この人間界では力が使えないから……あれ?思ったより力が出せるみたい。
紺の馬鹿の力が流れ込んでるから、なのね。』
シャロットはせつなの体内を散策しながら、闇の居場所を突き止めようと考え、テクテクと道無き道を歩いていく。
せつなの体内、正確には精神世界は極めてシンプルな作りだ。白い地面に、何処までも続く永遠の白、白、白。一面真っ白な世界だ。
『異世界物じゃあるまいし、一面真っ白な世界はもう飽きたのよ。……ふむふむ、あの辺りが匂うのよ。』
シャロットのアホ毛がピンと反応した。どうやら闇喰の居場所を発見した様子だ。幼女神の索敵能力は素晴らしいものがある。
それは精神世界でも健在で、シャロットは遂に闇喰を発見する。
禍々しいオーラを纏う闇の中心には、暦せつなを象った人では無いものが立っている。
『見つけたのよ、覚悟しろなのよ!』
シャロットは両手を広げ全身から力を手のひらに集めていく。目も眩むような光の球を生成したシャロットは、それを躊躇なく闇へ撃ち込んだ!
闇喰に直撃した光弾は弾け無数の小さな粒となり、更に爆発を起こした。強烈な一撃を喰らったせつならしき身体は無惨に弾け飛び白い空間を黒く染め上げる。
『ざっとこんなものなのよ。』
シャロットのこの上ないドヤ顔で小さな胸を張っていると、弾け飛んでバラバラになった筈の欠片が、人の形になり立ち上がる。その数は十を超える。
『のよよ?そんなの聞いてないのよ!』
人型の黒はケタケタを高笑いをあげながら、シャロットに一歩、また一歩と近付いていく。
一歩、一歩……距離は縮まっていく。囲まれたシャロットは咄嗟に跳躍して後方へ回避した。
『こ、こんなのやってられないのよーーっ⁉︎』
そう叫び、小走りで白き空間を全力疾走する幼女を追いかけるように全力疾走する黒い人影達。しかも黒い人影達もシャロットの小走り並みに素早く、すぐに追い付いてくる。
『ののょ?……わたちと追いかけっこするつもりなのよ⁉︎…ま、負けないのよーー!』
何故か少し楽しくなっているシャロットは更に速度を上げ、その上光弾を放つ。逃げながら、少しずつ数を減らし、その数が減ってきたタイミングで振り返ったシャロット。
『今度こそ、お終いなのよ!』
シャロットは特大の光弾を生成すると、それを勢いよく放った。特大光弾は次々と闇を蒸発させながら、遂に本体を直撃した!
本体は半壊して、見るも無残な姿に成り果てた。シャロットはそれを確認すると、トドメとばかりに、次の一発を溜め始める。
『神を侮るなかれ、なのよ!』
特大光弾を放とうと、両手を振り下ろした、その時だった。
『……の……よ……?』
幼女神シャロットの小さな身体を、一本の黒き刃が貫いた。……コトンと音を立てて、真っ赤な水筒が地面に落下し、コロコロと転がった。
そして、
……ドサリ、と。
幼女は地に堕ちた。
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