#41 消えた妹達
紺は桜と二人で並んで立っている。そして、妹達は行方不明です。
「あいつら、何処に行ったんだ?」
「皆んなではしゃいで奥の方まで走って行っちゃったね…あら?いつの間にかシャロットちゃんが…」
幼女神シャロットが姿を現しては我が物顔で道のど真ん中を練り歩いているのが見える。
紺はそんな神の首根っこを掴み一先ず場所を変えることにした。この場所は人通りが多すぎて会話もままならないと判断しての行動だ。
『のんよー!屋台を物色するのよ!邪魔するななのよー!』
暴れるシャロットを何とか押さえつけ紺は再び辺りを見回してみる。しかし、お転婆娘達の姿は見えないようだ。
「まぁ、そんなに広い公園でもないし、町内だからそこまで心配する事ないか。」
『のよのよー!』
諦めず暴れまくるシャロットの目線に合わせるように屈んだ桜は、持っていた鞄から手のひらサイズの何かを取り出しシャロットの手に握らせた。
『プリンなのよー!』
「これ、あげるからあまり暴れないでね?…あ、そうだ、これもあげるから、一人で屋台を回っておいで?」
『こ、小銭なのよ⁉︎…やったのよ、ロリ紺、お前に用はなくなったのよ!ばははーい!』
シャロットはプリンと小銭片手に、とてつもない速さの小走りで屋台の海へと消えた。
「…よし、これで邪魔は…」
「ん?九重?どうしたんだ?」
「あ、あはは…な、んでもないよ?」
「悪いな、いつもシャロットによくしてくれて。お礼と言っちゃなんだが、何か奢らせてくれよ。」
「え!いいの?」
「別にいらないならいいんだけど?」
「い、いえいえ!是非とも!」
桜は顔を真っ赤にして心の中でガッツポーズ。フラれても尚、紺に想いを寄せる乙女にお祭りデートの大チャンスが訪れたのだった。
……
その頃、JS軍団はというと、
「作戦成功だね!これで桜さんと急接近してロリコンを克服してもらうって算段よ!」
朱音はドヤ顔で小さな胸を張る。
「お兄さん、実はそこまで変態じゃないと思うけどな〜?ま、桜さんの恋を応援する気持ちはアタシにもあるし、いいと思うな。」
と、凪子。それに相槌をうちながらりんご飴を舐めるのは環奈だ。
低学年チームもしっかりお姉ちゃんチームと一緒に行動している。そして、やっぱ大人しい。
そんな時、ふと藍音が呟いた。
「紺にぃに、桜さんと結婚しちゃうのかな…」
それを聞いた環奈は、
「案外、今回のデートで一気にゴールインしちゃったりしてね。」
みくりも嬉しそうに、
「ス、スピード婚だね!いいな〜桜さん…」
ときめく女子達を見たせつなは無言で興奮を露わにしている。
朱音はそんな皆を見て、少し表情を曇らせた。
「スピード…婚…」
「どうしたの?朱音?」
凪子が朱音の頬を指先で突くと、朱音はビクッと身体を震わせて我に返る。
「な、何でもないよ!…ほら、わたし達は勝手にお祭り楽しむんだから!行くよ皆んな!」
そう言って先へ進む朱音を見た凪子と環奈は顔を見合わせて苦笑いを浮かべる。
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