#39 新たな拘束具なのよー!
「うおおぉぉぉっ、次は逃さねー!環奈ちゃんの身体を返してもらうぞ!」
紺は先程とは比べ物にならない数の拘束魔術を一気に発動させ、それを闇喰にけしかけた。
素早い動きでそれを次々とかわしつつ路地の壁をつたい紺に迫る闇喰だが、それを更なる鎖が足止めする。闇喰は四つん這いで鎖と鎖を渡っては高く跳躍してそれをかわし一度後方へ回避する。
猫化状態の環奈の身体能力は凄まじいもので、あれを普段から出されたらと思うと紺は身震いした。
いつもの毒舌ドSな環奈なんて、まだまだ優しい方だ。鎖を全てかわされた紺だが、その攻撃の手は休まることを知らない。
神と融合、キッスすることで格段に向上した紺の魔力はまさに底なしに近い。
だが、素早さに特化した闇喰を捉えられないのも事実である。
『のんよー!すばしっこいやつなのよ!ロリ紺、何とかするのよー!それ以外の技はないのよ?』
「あるっちゃあるが…」
『あるなら使うのよ!出し惜しみなんてしてる余裕はないのよ?』
「仕方ない、使ってみるか。」
紺は鎖の魔術をけしかけながら、新たな術式を解放する。相変わらず当たらない鎖を華麗にかわした闇喰はそのまま地面に着地せんと降りてくる。
「そこだぁっ!」
紺が叫ぶと着地地点に白いクッションのようなものが出現した。そのままそこに着地した闇喰、環奈はつるんと足を滑らせておしりから豪快に転ぶ。
するとツルツルしていたそれは形を変え、粘った物体に変化する。
その粘つきが環奈の手足を見事に拘束し身動きを封じたのだ。
「…発動!名付けて…」
ーー『拘束ローションなのよー!』
「へ、変な名前付けてんじゃ…」
『まさか、小学生相手にローションプレイとは鬼畜にも程があるのよー⁉︎ロリ紺、わたちは…
わたちはお前を絶賛軽蔑中なのよー!』
「黙れ幼女!くそっ…まぁ、いいだろう。後は…」
身動きを封じられた環奈、闇喰の前に立った紺は両手で環奈の肩を掴む。
そして、
「ゔぁぅっ!!!!」
「我慢、しろよ環奈ちゃんっ!い、今っ…解放してやる!うおぉぉぉ消えろ闇!」
ーー!!
空にヒビが入り、景色に色が戻り始める。
『やったのよ!』
紺の身体からシャロットが飛び出す。その反動で前のめりに倒れた紺は体勢を崩し…
「うわぁっ!」「ちょ、おにい、さ…きゃっ!」
環奈に覆いかぶさるように倒れてしまう。しかも自らが発動させたネバネバに身動きを封じられた。
側からみると、完全に小学生アイドルを路地裏で襲っている変質者だ。
『うわっ、遂に本性を現したのよ⁉︎』
「お前のせいだろうが!なんとかしろっ!」
『あ、もうこんな時間に!わたち、九重のところに行かないといけないのよ!焼きプリンのタイムセールなのよーー!こんなチャンスは二度と来ないかも知れない…ロリ紺、財布、かりてくのよ。にっしっし』
「あっ、コイツ⁉︎俺の財布っ!…くそー!シャロットお前、おぼえてろよ!」
「ちょ、下僕…ぁまり暴れないでよ!服がはだけて来ちゃったじゃない!この変態!」
「マジっすか…」
「まぁ、でも…助けてくれたんだよね。
えっと、ありがとう。」
環奈は頬を赤らめ目は合わさずに言った。
暫くすると警察が駆け付けてくる。そして二人を見て事の重大さを認識、直ちに紺を拘束する。
(こりゃ言い訳に時間がかかるぞ…あの協力者、はやく来て何とかしてくれ…俺は疲れた。)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます