#30 絶望、そして希望
みくりの前に現れたのは過去に悪霊化した霊を喰らった者、闇喰だった。
みくりはその姿を見て当時の恐怖を思い出した。脚が震え、その場から逃げないとわかっていても逃げられなかった。
そんな彼女を喰らわんと闇喰は大きな龍の影となり迫る。大口を開けたソレはみくりを喰らった。
…かに見えた。
「…あ…ゴンザレス…?」
悪霊化寸前のゴンザレスはみくりを庇うよいに闇喰を弾き飛ばし雄叫びをあげた。
闇喰はその姿を小さな闇の瘴気をまとう龍に変え、分身、分身…その数は7体、翼を広げた7体の闇龍が一斉にゴンザレスを襲う。
必死に抵抗するゴンザレスだが、多勢に無勢、徐々にダメージを負い始める。
「辞めてっ!…も、もう…うぅ…」
みくりの身体から現在絶賛取り憑き中の霊達が次々と出てきては具現化する。
「…え?…皆んな?」
みくりのお友達はゴンザレスを援護するように闇喰と全面戦争と洒落込むのだった。それはまさに乱闘でしかなかった。
……
『急ぐのよロリ紺!』
「こ、こんな時間にっ⁉︎くそっ…みくりちゃんは無事なのか⁉︎」
『今のところはまだ大丈夫そうなのよ!』
紺の前を凄まじい速度の小走りで走るシャロット。その後、息を切らし必死に追うのは例によって例の如く紺である。
二人が向かった先、そこはみくり交戦中の丘の上の小さな神社である。
シャロットのアンテナが闇喰の居場所を知らせてくれるのだ。
間も無く現地に到着、紺はみくりの無事を確認…したのだが…何か様子がおかしい?
みくりはしりもちをついたような体勢で何かを見上げている…
「な…んだよ…アレ…」
紺は息を飲む。みくりの目の前で捕食される何かが見える。巨大なドラゴンの姿になった闇喰はそれを綺麗に喰らい激しく咆哮する。
『どうやらお友達は全滅したみたいなのよ…』
「…みくり…ちゃん…?」
みくりは目を見開いたまま動こうとしない。いや、動けないのだ。そんな彼女を喰らわんと再び大きな口を開く闇龍…!
「…なっ⁉︎…おい幼女!いくぞ!」
『のよ⁉︎』
「…のよ?じゃねー!キッスだろーが!」
『にししっ…積極的なんだから〜、のよっ!』
紺はシャロットを抱き上げそのまま唇を奪い、その勢いでみくりの前まで飛び出した!シャロットの力のおかげで身体能力が格段に向上した紺は一瞬で闇喰の懐に入っては強烈な一撃をお見舞いする!
怯んだ闇龍は再び分身、数で乱入者を排除せんと迫る!!しかし!
「甘いぜっ!」
無数の鎖は闇龍たちを見事に拘束する!
『出たのよー!拘束具なのよーー!』
「だからっ!拘束魔術だって…言ってんだろーがぁぁっ!!!!喰らえ!」
紺は次々と拘束した闇龍を消滅させていく!6体撃破し、残りは本体だけとなった。
しかし本体は拘束を振りほどき咆哮で紺を威嚇する。
「みくりちゃん…気を失ってるか…シャロット、一気に決めちまうぞ?」
『のよ。』
「あんたにゃ悪いが、今回は喰らう前に決着をつけさせてもらうぞ?…家で妹たちが待ってるんでな!」
…
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