#25 夏だ!海だ!!…JSか…
「皆の者!!梅雨は明けた!!そして時は七月の半ば!!そうだ…夏が来たのだぁっ!!」
そう叫ぶのは変態ロリコンが板についてきた男、当真紺である。本日は七月二十二日、全国の学校が夏休みに入って二日目だ。
そんな蝉の鳴き声がうるさい夏の朝、当真家の人口密度はこの上なく高い。
「夏と言えば海…!グラビアを見ても全く反応しない俺だが!それでも海の雰囲気は好きだ!そして今年も海へと繰り出す!!!!……のだが…」
そんな紺をじっと見つめるのは、幼女、幼女、幼女、そして幼女と来て更に幼女&幼女、トドメに幼女神もいる。
目をパチクリさせながら口を開いたのはシャロットだった。
『ロリ紺、非常にうるさいのよ。』
「つーか多くね?何が嬉しくてこれだけの数の小学生と海に行かにゃならんのだっ!完全に子守なんですけど!!」
紺の前には妹の朱音、藍音をはじめとする更生委員会のメンバーが勢揃いしている。
そう、本日はこの全員を連れて海へ繰り出すといったミッションが発生したようだ。しかもアポ無しときた。何やら朝からバタバタと支度をしていると思えばこれだ。紺は頭を抱えため息をつく。
「ふん、別に子守してもらうつもりはないけどね?お兄さんはただのアッシーだから。」
そう言って小さな胸を張るのは環奈だ。相変わらずツンツンしている。
「あ、あの…ご迷惑をおかけして…す、すみません…でも…みくり、海、たのしみで…ぅっ…」
「ぬがぁっな、泣くの反則っ!わかったわかった!連れてってやるから…」
こうして海へ向かうことになった一行は自宅の駐車場に眠っているワンボックスカーに乗り込む。因みに紺はペーパードライバーでこの車は父が昔から乗っている二十年落ちの車だ。
『おお!紺!お前は車を運転出来るのよーー⁉︎凄いのよーー⁉︎』
「そこまで驚くことかよ…」
紺は車を発進させる。後部座席には幼女達がひしめき合っている。少し走ると朱音が車を止めてと言った。目の前には公園、そして。
「…ご、ごめんね朱音ちゃん。わざわざ迎えに来てもらって。」
「大丈夫だよ、桜姉っ!助手席空けてるから、早く座って!」
紺の開いた口は塞がらないといったところだ。
ハンドルを握る彼の横に申し訳なさそうに座るのは何を隠そう同級生の九重桜だ。桜はペコリと頭を下げて「よ、よろしく…当真君。」と言った。
「よ、よろしく…九重。」
騒ぐ後部座席、沈黙の運転席と助手席…
紺はその沈黙をきるように九重に言った。
「い、行くか…とりあえずコンビニでも寄って飲み物でも買って行こうぜ。」
「う、うん…!運転、気をつけてね。」
「お、おうよ…!」
紺は再び車を発進させ近くのコンビニへ。そこで飲み物やおやつを買った後、そのまま高速道路に乗り他県の某有名海水浴場へ向かうのだった。
高速を降り丘を越えると目の前には海が広がり退屈していたJS達のテンションが上がる。
「わぁ!海だ!」と凪子。
「ムッフゥゥッ!!」
せつなも大興奮の様子だ。天気も最高で正に海水浴日和といったところだ。紺はチラッと朱音の姿を見てみる。一緒になってはしゃぐ朱音をバックミラー越しに確認して少しだけ安心する。
無邪気に笑う朱音はやっぱり可愛いなと、心の中で思ったのか口元が緩む。
その笑顔を、また紺に向けられる時は来るのだろうか。
海水浴場は既に沢山の人で賑わっていた。
車を止めてさぁ降りるぞと振り返った紺に戦慄が走る!!!!
「あっ!ちょっと着替え中なんだから振り向かないでよ!」
次々と服を脱ぎ出す少女達。予め中に着ていた水着が露わになる。朱音は赤のヒラヒラビキニに薄手の白い上着、下はスカートみたいで女の子らしさを感じる。
藍音は青いワンピースタイプの水着で一歩間違えればスクール水着にも見える。
凪子は朱音同様黄色いビキニで上着を羽織っている。下はショートパンツのようなタイプで何とも凪子らしいスタイルだ。
そして環奈はピンクの女の子全開のビキニだ。…今日日の小学生は大胆だな、と紺は思う。
下級生のみくりも意外と大胆だった。黒ビキニのスカートタイプに身を包むみくりは恥ずかしそうに頬を赤らめている。
興奮気味のせつなは…真っ白なワンピースタイプとシンプルに決めてきた。と、思いきや背中に背びれのようなものが…
「わぁ可愛いねそれ!」
朱音がヒレをツンツンする。
「背中がモリッとしてると思ったら背びれだったんだね?」と、凪子も笑う。
「…背びれ可愛いから買ってもらった…!」
せつなは興奮気味で背びれについて語り出した。意外と話しはじめるとよく喋るせつなだった。
着替えも終わったことだ。今度こそ車を降りるぞと横を向いた紺に再び戦慄が走る!!
「…はっ⁉︎」と赤面するのは桜だった。
「えぇーーっ⁉︎いつの間に⁉︎」
暫く目を瞑っていた紺は気付かなかった。隣で九重桜がひっそりと着替えていたことに。
「せ、せっかくの海だし…やっぱり泳ぎたいなと思って…へ、変かな?」
変?あり得ない。九重桜、彼女のプロポーションは最高だった。まず嫌でも目に入るのは弾けんばかりの胸…!そして白い肌、程よく食い込む紐…そんな水色の水着に身を包んだ桜を見た少女達は一斉に「おお…!」と言葉を失うのだった。
こうして砂浜へ降りた一行。
少女達は待ってましたと言わんばかりに海へと駆けて行く。紺はそんな少女達に「あまり遠くには行くなよ?」と言ったが殆ど聞いていない様子だ。
そんな姿を紺の隣で見つめているのはシャロットだ。彼女は着替えていないようだ。
「…お前は泳がないのか?」
『わたちはいいのよ。』
そんなシャロットに桜が声をかける。
「えっと、シャロットちゃんだっけ?」
『うむ、訳あって紺の家で世話になってるのよ、焼きプリン、美味しかったのよ。』
「そう、だからあの時もプリンを四つ買って行ったんだね。」
「ま、まぁな。九重は泳がないのか?」
「私は…と、当真君は?」
「い、一応…下に水着は着てるけど…一応…」
「それじゃあ一緒に入ろう?せっかく来たんだから楽しまないと!」
「えっ…うわっ…手、手!」
紺の手を握り笑顔を見せる超絶美少女は首を傾げる。紺は観念したようにシャツを脱ぎ立ち上がる。
「わかったから…そんなに引っ張るなっての…」
「あ、ごめん…つい…」
こうして二人は少女達の騒ぐ海へと足を運ぶのであった。
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