#24 嵐の後は
『のーーーよーー!!嫌なのよーー!わたちは今すぐにプリンが食べたいのよーー!!!!』
今日も当真家は騒がしい。シャロットは夕食前にプリンを食べるのだと聞かないし朱音はそんなシャロットを追いかけ回すわで大変である。
藍音は遊びに来た来未みくりと大人しくテレビを見ているようだ。テレビを見ながらもしっかり絵本を抱き抱えている。
そんな当真家にはもう一人客がいた。
凪沙凪子である。彼女はあの日の事を憶えているのかいないのか、あれから良く当真家に来るようになった。
お目当ては紺だ。
「ねぇねぇお兄さん?好きな女の子のタイプは?やっぱ女の子らしい方が好みかな?」
どういった心境の変化か紺に対してやけに好意を寄せるようになっていた。
そんな凪子と紺の姿を突き刺さるような視線で睨むのは勿論朱音だ。
「むむぅ…ふんだ!」
凪子の出した怪我人、いじめっ子達の記憶はスッポリと抜けていて学校では何事も無かったかのように日常が過ぎる。
シャロットによるとそれは協力者の働きがあるからだとか。
紺は協力者とは何なのかと問いただしたがシャロットはそれ以上の事は教えてくれなかった。
ただ一つ教えてくれた事、それは闇喰は七つで一つの生命体だということ。
紺が無力化したのはその内の二つに過ぎない。そして残りの五つは必ず紺の周りで動きを見せるだろうと。
そして夜、紺は自室の灯りを消しベッドに横になった。その傍らにはシャロットが立っている。
「なんだ、寝ないのか?」
『…寝るのよ。よいしょ。』
シャロットは紺の布団に潜り込んだ。もはやこの状況も慣れてきた紺は構わず目を閉じた。
暫くするとシャロットの寝息が聞こえてくる。
紺は振り返ってみた。シャロットはいつも肌身離さず赤い水筒を肩にかけている。
寝る時もそれは離さない。首の鍵穴、これには何か意味があるのだろうか、とシャロットについて知らない事が多いのが事実だ。
ただ一つ、シャロットは闇喰を倒す為にこの人間界へと降りてきた神であることだけ、それだけしか知らないのだから。
残りの五つ…更生委員会のメンバーは後四人。闇喰は異能力者を狙う傾向にある。それを考えると自ずと答えは出る。
次は残りの誰かに闇が付け入るのではないかと。
あながち紺の勘は外れてはいない、とシャロットも警戒するに越した事はないと言っていた。
そして時は過ぎ梅雨が明け、今年も夏がやってくるのであった。
…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます