#4 ロリコンに弁解の余地なし?
やけにふらつく身体で紺は二つ隣に位置する朱音の部屋の扉をノックした。返事はない。
「おーい、朱音?た、体調、大丈夫か?」
どうやら完全に無視されているようだ。
「朱音ちゃん?あ、開けるぞ~?」
紺はゆっくりと妹の部屋の扉を開けた。開けた瞬間、顔面に激痛が走る。と、同時に足元に国語の教科書が落ちる。
「来ないで変態!」
そう言った朱音はランドセルからノートやら教科書を取り出しては紺に投げ付ける。しかし教科書は無限に存在するわけもなくすぐさま弾切れを起こすのだった。
チャンスとばかりに紺は一歩前へ出たのだが。
「こんのぉ…ロリコン!」
赤いランドセルは宙を舞う。
紺はほんの数分間の記憶を失った。
…
「どういうことか説明して!…あの子は誰?なんでチュウしてたの⁉︎ロリコンって本当なの⁉︎」
「あ、いやその…あれは神様で…ぐばぁっ」
…紺は星を数えた。少女の拳が顎を揺らす。しかしここでダウンする訳にはいかない紺は踏ん張り弁解する。
「ほ、本当なんだっ⁉︎信じてくれ!あれはいきなり襲われてっ…どきゃぁっ」
…紺はお花畑を見た。少女の強烈な回し蹴りが彼の顎を再び揺らす。視界がぐるぐる回る。足をあげた朱音のスカートがひらひらとなびく。
紺は回転しながら可愛い赤とピンクの絨毯に仰向けで倒れた。
「紺兄が変態ロリコン野郎だなんて知らなかった…いつもいつも、私達のことをそんな目で見てたの?…このこのっ!」
「ぐばぁっ⁉︎」
容赦なくその顔面を踏み付ける朱音。
顔面を踏まれる紺の視界にはスカートから見え隠れする朱音の…パ…
「っ⁉︎な、な、な、何見てんのよ!」
兄の良からぬ目線に気付いた朱音はスカートを手でおさえ顔を真っ赤にする。
そして落ちていたランドセルを再び振りかぶり躊躇なくそれを振り下ろしたのだった…
暫し宇宙を旅した紺は妹の前で正座をする。
「紺兄が変態でロリコンなのはわかった!今のうちにそのロリコンを治す方法を考えないと!」
「えっと、それはどういった…」
「私の友達にも協力してもらおう…藍音にも協力を要請しないと…」
「えっ…」
「えっじゃないの!このままロリコンを拗らせると紺兄がいつか犯罪者になってしまうかも知れないんだからね?ちゃんとわかってるの?」
小学生の妹に懇々と説教される紺だが、頬を赤らめ怒る朱音も悪くないな、と口元が緩む。
当然、朱音の蹴りが炸裂する。
「ぐべすらぁっ⁉︎」
「人の顔見てヘラヘラしないの!こ、更生しないと…こ、紺兄とは絶交だから!」
絶交だけは勘弁してくれと朱音に歩み寄る紺にトドメの一撃が決まった。
「どぅぐふぁっ⁉︎」
ドンガラガッシャーン!
「はぁ…はぁっ…触らないでって…はぁっ」
「何て強烈な蹴りなんだ…男の俺を部屋から廊下まで吹き飛ばすとは…」
すると目の前の扉はバタン!と音を立てて閉まってしまった。
紺は痛む身体を引きずるようにして自室へ。
シャロットは気配こそ感じるが眠っているのか全く反応がない。
紺は自室のベッドにダイブして少し目を瞑ることにしたのだった。
…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます