#3 契約のキス
「幼女…神…だと?」
『うむ、お前の大好きな幼女の神なのよ。』
目の前の自称神は一歩、また一歩と紺を見つめながら距離を縮める。頬を赤らめながら一歩、そしてまた一歩…ぴょん、ぴょんっと、跳ねるように。
『紺の色を放つ魔力。…無の器。』
紺は迫る幼女を部屋の隅で呆然と眺める。
『…お前の家系は代々魔術師の家系、そして魔術師の家に産まれた者には、それぞれの色が与えられるのよ。その色は所謂魔力の属性、因みにお前の紺は無属性なのよ。』
「…何故お前がそんなこと…俺達が魔術師の家系であることは特定の人物しか知らない筈だぞ?」
『わたち、神なのよ?それくらい、わかるに決まっているのよ?』
「で…その神とやらの目的は何だ…?」
『あまり驚かないか。人外の存在を知る一族だけのことはあるのよ。わたちは幼神シャロットなのよ。これから宜しく頼むのよ?』
「親父から色々聞いてるから今更神の一人や二人出て来ても驚かん。で、勝手に宜しくされても困る…そもそもお前の所為で妹が勘違いしちまったんだよ。はやく弁解しないと俺を変態だと思っちまう。」
『何度も言うけどそれは勘違いではないのよ?お前がロリコンで変態なのは事実で、揺るぎないのよ。今更弁解の余地はないのよ。だってお前、わたちに欲情してたのよ?にししし…』
「断じてしてねーよ…!」
『にっしっしぃ、これから少しばかりこの街が騒がしくなるのよ?お前にはわたちの仕事を手伝う権利をやるのよ。』
「…勝手にくれるな…街が騒がしくって…どういうことだよ。」
『近いうちにわかるのよ。さ、わたちは疲れたのよ。お前の中で眠るから、さっさと契約を済ませるのよ。』
そう言って幼神シャロットは部屋の隅に退避していた紺の目の前にぴょんと立ち潤青の瞳で見上げた。
その瞬間、紺の膝の力が抜けた。
そして幼女と視界の高さが同等になる。
何故か身動きの取れなくなった紺の前に立った幼女は彼の顔に小さな手を添え、再び唇を重ねた。
するとシャロットは紺の身体に溶け込むように消えた。綺麗な光の粒となり彼の身体に染み込んでいく。そう、文字通り、一体化した。
絶頂に近い謎の快感が彼を襲う。やがてそれは和らぎ自由に身体を動かせるようになった。
紺は自分の中にあの幼女がいることを身をもって体感する。そして彼女が神であることを認める。
「くそ…意味がわからんぞ。しかし今は朱音の誤解を解くのが最優先だな…」
…
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