ワギャンパラダイス
ワギャンシリーズ。
ナムコのソフトとして1980年代後半から90年代前半を彩って来た作品。
だがそのシリーズは、残念ながらこの作品をもって事実上終わってしまう。
別に駄作だったと言う訳ではないはずだ。
どうしても、看板であるボス対戦の「しりとり」が日本語以外の大半の言語ではできないゆえに海外進出できなかったと言う障壁は高かったのだろう。
(のちにこの作品を手掛けたスタッフが作った「風のクロノア」はそういう点を解消している……と思われる(未プレイに付き大きな事は言えず))
あるいはこのワギャンパラダイスは、その壁を破るために作られたのかもしれない。何せ、この作品はこれまでのワギャンシリーズの多くを排除したゲームデザインであると言えるからだ。
音波砲はある(ついでに敵の顔芸も追加された)が、背丈の数倍は飛べたジャンプ力は倍よりやや低いレベルまで落とされ、ワギャナイザーをいくら集めても無敵にならない。
(無敵アイテムは特定の場所を攻撃すると出る無敵キャンディーが担う事になった)
またスーパーワギャンランド2になってアイテム込みでようやく活動できるようになった水中を、堂々と泳ぐことができるようになった。
そして先に述べた通り、しりとりはない。
パーフェクトによるセブンアップ、7機増とか言う虫のいいお話もない。
残機は、100個スターを手に入れた上でボーナスゲームをやって増やす物である(ギブアップして1UPを獲りに行くのもあるが)。
パーフェクトボーナスはそのスター30個分でしかなく、ステージ中に集めないととてもとても足りない。
そしてそれらのボスゲームは、全8種類に及ぶ。
なんと、これまでの6作のワギャンシリーズの合計数と同じだ。
しかも裏ルート、裏ボスなんてないので、どのボスゲームもラスボス戦を除けば2回しかない。
それらのうち旧作の影が見えるのは、「パネルサーチ」(向こうが指定して来るパネルを絵から選ぶ)と「さんすうクイズ」(計算式の答えを探す)ぐらいしかない。
個人的に得意なのは経験を生かしての「さんすうクイズ」と、いわゆるアナグラムの「ことばパズル」、そして4×4の正方形を作るタイミングゲー「がったいパズル」であり、苦手なのは4枚中3枚の絵が左右反転している中で1枚の正解を探す「おなじえどのえ」と回転している絵を当てる「かいてんクイズ」である。
(ちなみに残る2つはデジタル数字を当てる「くるくるパネル」と、記憶力クイズの「ドレミサーチ」)
とりあえずこれまでのシリーズより上回っていると言えるのは、ストーリーの書き込みである。
ワギャンシリーズにはあまりストーリーはなかった。
Dr.デビルが襲い掛かって来る、それを撃退する(1、ゲームギア、スーパー)だけで事足りた作品もあるし、よその星に迫った「謎の征服者」が実はデビルでしたと言うパターン(3)もある。
だが今作ではいきなりほほえみの木と言うワギャンランドのシンボルが倒れる(デザインはまったく違うが)所から始まる。
そして主人公のタクト及びカリンも、これまでのように重くはない。夜中に家を抜け出して、勝手に遊びに行くと言うレベルの冒険でしかない。
「やれやれ、タクト(カリン)のやんちゃぶりにもこまったものです」
そのレベルの冒険が、海に投げ出されて
「こうなったらあとはもうおよぐしかありません!」
になり、
「ひょっとしてここは……か、かざんのまんなかだぁ!!」
になり、
火砕流から逃げる事になる。
そこでいきなりナマーズ族の指揮官(ボス対決が例によって例のごとくなのはさておき)と対峙し、いきなり地上征服とか言う展開に巻き込まれて行く。
そして。
敵大王の唱える、環境破壊。
扇動政治。
地下への移住。
「ハイルナマーズ!!」
いろいろな意味で攻めまくっている。
話が前後するが、このゲームの難易度を決めるのは設定年齢である。最初に
「あなたはなんさいですか?」
と言う項目があり、その年齢によってボスゲームの難易度(アクションの難易度はまた別項目がある)が変わる。
最低は、3歳である。
だいたい15~25歳ぐらいが最高難易度と思われるが、最低は3歳である。
3歳児に(もちろん親同伴だろうが)これほどまでの世界を見せる訳だ。これもまた、新たなナムコの挑戦だったのかもしれない。
(ステージの難易度的に3歳児にはクリアできないとか言わないように)
また曲も出来が良い。従来と違い使い回しがほとんどなく(ないとは言わない)、一曲一曲が場に合う。
スコアが廃止され、画面全体があまり雑然としていないのもまた味があると言えるかもしれない。
いずれにせよ、今でもやってみる価値はある作品だろう。
できれば年齢を25歳にして、たった4文字のパスワード(しかも全部意味のある単語)を入力して。
あと、とりあえず「フォーリンダウン!」で残機を溶かしまくった人は素直に握手して欲しい。
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