星のカービィ3

「0%0%0%」

「……すまない」

「初代詐欺師マルク」

「こうかいしませんね?」


 これが前作、「星のカービィスーパーデラックス」である。



 そしてこの「星のカービィ3」は、その次回作である。


 親でも何でも、先代が優秀であるとどうしても比較される。




 ましてや、発売時期がまずかった。


 時に1998年。前作(1996年)の段階でスーパーファミコンはニンテンドウ64の発売を直前に控えた、つまり晩期だったのに、1998年ともなればすっかりニンテンドウ64に移行し、さらに時あたかもポケモンブーム真っただ中である。



 つまり、元よりスタートは良くなかった。



 しかしこれもまた、カービィと言う作品に課せられた課題であり、伝統であった。


 ファミコンの「夢の泉の物語」からして1993年(スーファミの出た3年後)だし、「星のカービィ2」だって本来ならばゲームボーイの晩期であった1995年である(と言うか次回作の「星のカービィ64」も、それ以後の「鏡の大迷宮」も「Wii」も2年もしないうちに後継ハードが出ている)。



 まあそのような愚痴はさておき、この星のカービィ3は星のカービィ2に非常に毛色が近い。後世に数字シリーズと言われるように作風が似るのは仕方がないが、この星のカービィ3にはどこか温かさがあった。



 近年の星のカービィシリーズについて文句を垂れるつもりもないが、Wii以降のラスボスはみんな良く言えばキャラが立っている、悪く言えば重い。

 あるいは純粋に「子供向け」な作品を楽しめたのはドロッチェ団が最後かもしれないと言うのはオーバーとしても、この作品のグラフィックはとにかく温かい。




 全体的に線が緩く、画面全体もごてごてしていない。




 あるのは残機、ライフゲージ、コピーの絵、1UPのためのアイテムの取得数、ボスのライフゲージ。


 それだけ。


 あるいはそっけないと思うかもしれない。


 だがこの後派手派手しいコピーや重たい設定がこのシリーズに乗っかりまくって来る事を思うと、こうしたのっぺりとした作風もいいなと思えて来る。




 ゲームそのものも緩い。厳しい所はあるがそれでもステージそのものは進めやすく、ユーザーフレンドリーである。


 仲間キャラは3人から6人になり、合体は自由になった(個人的にはピッチが好き)。


 

 それでも100%クリアのためには謎解きが必要不可欠である、腕もさることながら、頭も要る。

 だがその謎解きは、決して作風の近いヨッシーアイランドほどハードではない。どこまでも遊びやすく、それでいてわかりやすい。

(基本的に1面→花を枯らさない、3面→ミニゲームをクリアする、5面→仲間と共にゴールするだが微妙に条件が違う)


 まあわかりやすくないのもあるし、ミニゲームに苦戦を強いられる事もあるが。



 と言うかこの作品、謎解き方向でゲストキャラがたくさん出て来る。


 10か月後に初代スマブラが出る訳だが、それに先んじてサムス・アランが出て来る。

 他にもファミコンロボットがスマブラより10年も前に、遊々記のちゃおとごくう(ただしちゃおとは共演済み)、やはりファミコンディスクの新・鬼ヶ島からどんべとひかり。


 実はカービィ自身も新のころゼルダの伝説に出演していた事もあったが、やはりこれが星のカービィシリーズとスマブラを産んだHAL研究所のつながりの運命なのだろうか。

 そう考えると実に面白い。



 さらにぼすぶっちと言う名のボスラッシュモードに使われているニンテンドウの文字。


 16ビットのハードである事を強調したその文字に思わず笑ってしまったのは私だけではないと思いたい。


 それをクリアした上でまだなんともならない100%のためにジャンプゲームに苦闘するもまた良しである。




 昨今のごてごてしたゲームに飽きたらやってもらいたい。Switchのスーファミオンラインでプレイ可能な、この良い意味で穏やかなゲームを。







 余談だが、かつて「たのみこむ」なるサイトでバーチャルコンソールの配信申請をしたのは筆者である。これもまたいい思い出かもしれない。

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