マリオテニスアドバンス
世間的に評価は高くない。けど自分としては好き。そういう何かがあると言うのはある種の自慢であり、幸福なのかもしれない。
個人的にそれに当たるのが、この「マリオテニスアドバンス」である。
まず発売されたのは、2005年である。アドバンスと名前からあるようにゲームボーイアドバンス用ソフトだが、その時にはすでにニンテンドーDSが出ていた。もちろん2006年に「MOTHER3」や「リズム天国」が出ているように、まったくゲームボーイアドバンスと言う存在が終わった訳ではなかったが、だとしてもその存在は薄くならざるを得なかった。
内容についても、それこそ不満を上げれば五指では及ばない。
まず、「マリオテニス」なのにマリオキャラが6人しかいない。ヨッシーも、ワリオもいない。
続いて、このゲームは比較的簡単である。一度クリアすれば高難易度のモードを選べるようになるが、それとて普通にやればなんとかなる。
さらに問題として、このゲームにはゲームキューブとのリンクがない。前作(マリオテニスGB)にも、ゴルフ(マリオゴルフGBAツアー)にも64版及びキューブ版とのリンク要素があったのにである。この時点で、開いていたゲームが閉じたゲームになってしまった。
そしてそれ以上に、かつある意味最大の問題かもしれないのが、ストーリーである。
オープニングの段階で「マスクマン」と称してマリオとピーチ姫がメインの舞台となるロイヤルテニスアカデミーに殴り込みをかけ、そこで前作の主人公に新しいショットを見せつけて打ち破り成長を促す事になる。
そう、前作の主人公に新しいショットを見せつけて打ち破るのである。
たかがと言っては何だが、たかが一テニスプレイヤー(しかもこの時は現役引退状態)に、天下のマリオがだ。
「マリオゴルフGB(GBAツアーの前作)」でもマリオは主人公に敗れているが、だからと言って急激にパワーアップした何かを見せつけるような事はしていない。良く言えば真面目とも言えるが、いささかせせこましい。
でも、私はこのゲームが好きだ。
「テニスの王子様」をご存知だろうか。ジャンプ漫画らしく段々と次元を超越したショットが打たれる人気漫画だが、このゲームはまさしくその世界である。
別にマリオキャラだけではない。主人公以外にもたくさんのキャラクターがありとあらゆる魔球を打ち、あるいはそれをしのぐために別の技を繰り出す。まさしく、超次元テニスだ。
先ほどストーリーを酷評したが、マリオキャラを取っ払った上での基本的な話を言えばそれこそ前作の続きであり、パワーアップである。
前作の数年後、ロイヤルテニスアカデミーに入学した主人公が、さまざまなライバルと戦い、いろんなトレーニングを経験して強くなって行く。
このシリーズおなじみのテニス(ゴルフ)+RPG形態であるが、前作に比べ単純にハードの進化もあって幅が広く、キャラも濃い。それこそ対戦相手全部に名前があり、エキシビションモードで使う事もできる。
オール初期値と言う、レベル1のプレイヤーより弱いキャラを使う事もできる。
そしてアカデミーが世代交代しているように他校もしている。前作で出て来たライバルの教え子(確認できるのは一校だけだが他もおそらくそうだろう)との対戦は、前作プレイヤーにとっては面白い因縁だろう。
何より特徴的なのが、スペシャルショットを覚える方法である。
ベルトコンベアを走ったり、ポンプを動かしたりするのは序ノ口である。
マリオばりにブロックを飛んで壊したり、ネジの上で回って火柱をよけながらコインをかき集めたり、踏み間違えると電撃が走るケンケンがあったり、ロボットと相撲をしたり……それこそテニスじゃねえよと言われても仕方のないそれが山とある。
もちろんここにも、難易度のアンバランスさや効率的な意味など多々問題はあるのだが、それでもなぜか未知のショットを得るために手が動いてしまう。
いくつか紹介すると、ボールが炎の龍になるショット。
ボールが氷に包まれ打ち返した相手を凍らせるショット。
ファミコンを含む物体を飛ばすショット。
この内2番目は、普通に進めても敵のそれとして見られる。
守るにしても、派手に分身してボールの位置まで打ち返したり、超能力でボールを引き寄せて打ち返したり、コートに水を張ってサメになって打ち返したりできる(ちなみにやはり2番目は敵のショットとして見られる)。
これこそ、ある種の夢ではないだろうか。
ゲームでしかできない、漫画の中の世界に入りたい人には実にお勧めである。
WiiUのVCがいつまでやってるかわからないのが少し不安だが……。
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