「まじかる☆タルるートくん」(ファミコン)
キャラゲー、その言葉にプラスのイメージを持つのは難しいかもしれない。人気キャラクターのタイアップ、名前やグッズを売る事だけを優先としたおざなりなゲーム。そういう物が数多存在するのは拭えない事実だろう。だが、そうでない物もある。例えば、
「まじかる☆タルるートくん」(ファミコン)のように。
言っておくが、私は原作を読んだ事がない。ただ単に、ゲーム雑誌で見て面白そうだから買っただけである。
分かりやすく言えば、横スクロールアクションゲーである。左から右へと進んで行く、ただそれだけのゲームである。ポイントとなるのがたこ焼きである。タルるートと本丸の好物であるこのたこ焼きだが、ゲーム中では貨幣であり、足場である。貨幣であるからたくさん食べたくなるが、食べ過ぎると足場がなくなって詰む。そんな事が、かなり序盤から起こる。何とも悩ましく、良い意味で嫌らしい。そして、このゲームは基本的に一撃死である。そのため緊張感を持たねばならない。
だが、嫌にはならない。やられる度にたこ焼き=貨幣が手に入り買い物がしやすくなる上、このゲームは1UP要素がやたらに多い。マップ中のサブイベントでのビンゴやたこ焼き屋など、運と少しの腕次第で人数が増えまくる。その上にステージ中にボーナスも多いので、何べんでもチャンスが与えられる。
辛ければ、スクラッチによってのみ手に入る絶対的アイテムを使って一発ゴール(……のはずが失敗した過去あり)する事だって可能だし、その気になればノーアイテムクリアだって可能なのである。無論、たこ焼きに任せて買い集めた装備できるアイテムをゴリゴリに使いまくりクリアを目指すのも良い。
そして、タルずかんなるモードによりアイテムや登場人物の説明(作中未登場のそれも多いが)があるため作中に入り込むためのハードルはそれほど高くない。原作を読まなくてもある程度楽しめるが、それでありながら原作に引き込ませる要素を持ったキャラゲー—―――と言うのは本気で貴重ではないだろうか。
それらのアイテムや登場人物も比較的うまくゲームに溶け込んでおり、いわゆる死にキャラ・死にアイテム(登場した中での話だが)がないのも良い。その点は原作ファンにも好評を得ていたのではないだろうか。
それでボス戦もあるが、これはあまり好きではない。基本的に相手の隙を突いて攻撃を当てて行くという格ゲー的な物で(「2」のボス戦はより一層そちらに傾いた)、緊張感が逆方向に作用している感は否めない。落下の恐怖に怯えたり、弾幕を避けたりする方がこのゲームには合っている気がするのは私だけだろうか。
まあとにかく、私は面白いキャラゲーはないのかと言われればこれを推す事にしている。「まじかる☆タルるートくん」のゲームと言えばゲームフリーク製で有名なメガドライブ版やスーパーファミコン版もあるが、とりあえずアクションゲームが好きならばやってみる価値あるだろう。
実はこの作品、先ごろ発表されたジャンプファミコンにも収録されている……で、そのジャンプファミコンに「2」がないのは実に正確な判断だろう。「1」(これ)が良いキャラゲーなら、「2」は原作再現に寄りすぎた悪いキャラゲーだから。
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