SDガンダムGジェネレーション

 ガンタムオタク、略してガンオタ。さらに言えばガノタ。

 自分がそうなんだろうなと言う自覚を与えたのは一体何だろうか。私の場合は、「SDガンダムGジェネレーション」であると断言できる。

 幼少の頃から、ガンダムゲーに触れて来た。ガンダムのアニメなどほとんど見ないのに、ゲームだけやっていた。SDガンダムのゲームだけやって、わかった気になっていた。そんな人間を本格的な道に引きずり込んだのが、この「SDガンダムGジェネレーション」である。

 店先で見かけたこのゲームソフト、それと一緒に衝動買いしたのが設定資料集とでも言うべき一冊の本だった。それこそが、今思えば沼の入り口だったと言えなくもない。あるいはこの時、他のガンダムゲーと間違えて買ったのかもしれない。今となっては記憶もあいまいであるが、結果的にそれは吉と出た……のだろうか。

 この「SDガンダムGジェネレーション」は、基本的にはシミュレーションゲームである。ヘックスにより作られたマップを部隊を率いて攻略していくという、システムそのものは比較的スタンダードな部類に入るゲームだろう。ただ後に延々とシリーズの続く作品の第一作であるから、後世のそれと比べるとまだ簡素である。シナリオも、一年戦争から逆襲のシャアまでしかない。




 とりあえず真っ先に衝撃を受けたのは、第一のマップだった。

「セイバーフィッシュ」

 ……何だこれ?そう思ってプロフィールモードを見ると

「航宙戦闘機」

 MSじゃないのかよ!………………そう、この時の私は連邦軍も最初からジムを投入しているもんだと信じていたのである。とりあえずプロフィールモードを見てみたが、MSと言える物は一つもない。

 それでもまあいいや、とにかく動かせばわかるだろ。アラートとか出てるけど無視して動かして攻撃をかけてやれば………………

「命中率 10%」「敵攻撃 命中率 100%」

 何だよこれ、ゲームバランスからしておかしいじゃないか!そう思ってリセット、もう一回やり直して所定範囲、青く光る場所にユニットを置くと

「命中率 60%」「敵攻撃 命中率 70%」

 その時の私は指揮範囲とか言う物なんか全然知らなかったのである。どんな戦艦でも戦艦は戦艦だろ、危なくなったらそこで補給すればいいじゃないか。そんな事を考えていたのだ。


 そんなヨチヨチプレイヤー様には、少しばかり厳しいゲームだったかもしれない。先の設定資料集の上に攻略本を2冊買って来て、首っ引きになって取り組んだ。シリーズおなじみの開発・設計と言うシステムに戸惑ったり楽しんだりしながら、プロフィールモードのリストを埋める事に腐心した。

 ……が、埋まらない。当たり前だ、あまりにも難しすぎてついうっかり2枚目のディスクについて来たデータディスクに頼って進めたからだ。これをやるとデフォルトの戦闘機系ユニットが埋まらない(できなくはないようだが余計に面倒くさくなる)。

 そしてそれ以上に、ユニットの数が多すぎた。ジムの次はジムⅡだろとか簡単に考えていたが、ジムをジムⅡにするのに延々ジムコマンド→ジム改→ジムカスタム→ジムクゥエル→ジムⅡとまで開発しなければならない。ザクさえもザクⅠと言う概念がある事に初めてこの作品で気付いたような存在にとって、F型?J型?と言う文字はまったく不可解で新鮮な物だった。それで設定資料集を眺めるだけで時間を潰した事も少なくない。

 それで先にも述べたようにストーリーは逆襲のシャアまでしかない。F91以降は、連邦軍と言うか主役サイドのMSがぽつぽつ出て来るのみとなっている。その機体と大雑把な解説文、それからその他のモードで見られるセリフや顔などを見て、どんなストーリーなんだろうと勝手に妄想してみたのもいい思い出である。

 そしてGジェネレーションの魅力の一つと言えばオリジナル部隊である。オリジナルキャラを編成して戦わせ、経験値を稼いでいく。その間にどんどんと感情移入して行く、これはファイアーエムブレムなどでもよくある事だろう。だがこの時は、それほど多くのパターンがある訳でもなく何人かでセリフは共通だったようだ。そんな中、何となく気に入ってしまったのが1人のキャラである。

「ジャン=フィリス」

 このキャラは、次回作以降全く出て来ない。能力が高い訳でもない、強いて言えば成長が速めなことぐらいだった。だが、初めて出た志願兵だったせいだろうか、なぜか使いまくっていた。この作品のオリジナルキャラと言えば、なぜかジャン=フィリスと私の中で決まってしまっている。不思議な物だ。いろいろ自分なりに勝手にキャラの組み立てをしてみたが、必ず主役はこのそばかすと白い歯の目立つこの決して強くないジャン=フィリスになる。まったく根拠のわからない不思議な話だ。


 それで1年後、発売されたのが続編の「ZERO」であり、おそらく私はこの時はっきりと沼にはまったのだろう。それでさらに1年後の「F」で完全に浸かり、未だに抜け出せている記憶がない。皆さんも機体の数に圧倒されるのは勝手だが、決してはまり込み過ぎないようにしてもらいたい。







 …………………………………まあ、期待を込めて買ったPS2の「NEO」が肌に合わずに(って言うか簡単すぎた「F」に慣れ切ってしまって)それきりガンダムゲーを買っていない人間が沼もへったくれも語る資格などないのかもしれないのだが。

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