第7話 初恋 ~チャイコフスキーピアノ協奏曲第一番第一楽章~
朝、目が目覚める、気持ちのいい朝、大きな太陽がちいさな自分までも大きく錯覚させる。
なにか今日は人生の中で特別なことが起こりそうな、そんな気がする。
いつもの通学路、周囲の人々も、澄んだ景色も、ゆったりとしていて自分の心が世界と同調しているすばらしい感覚。
学校に着いても同じ。
みんなが不思議そうな目でみてくる、予定調和、特別の序曲。
あの娘が目に入る、周りの世界が消えた。彼女が振り向き、こちらを向くまで、昨日と同じ感覚、日常だ。
スローモーション、彼女の中に僕はいるの?
「おはよう」
世界一の笑顔が生まれた、生きてきた中で一番幸せな瞬間。最高は更新された。
やはり今日も特別な日。
日に日に幸せは最高値を記録する、その後、教師の声は歌うように聞こえ、数式は
ノートにダンスを描く、薩英戦争は喜劇に変わり
給食はフランス料理のフルコースとなった。
夕方、彼女は笑顔でさよならと言った。
特別な日は終わり、太陽は沈んでいく。
明日また、特別な日を迎えるまで、僕は彼女のさよならの笑顔を何度も何度もリピートさせるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます