第4話




転移の光が消えると外壁に囲まれた街の前に


とりあえず 街に行ってみるか


「君 この街 始めてなら 向こうに並んでくれ」


「えっ 分かりました」


「それから 始めて街に入るには3万エンが必要だからね」


えっ そういえば お金は


持ち物を確認してみたがお金はない


……


どうしたら


道案内の看板を見ていると 近くに村が


村なら街より安いのかも


俺は村に向かうことにした




あれかな 人もいる


低い塀に囲まれた村が


んっ なんだ あれは


何かがこっちに 青く丸い生き物が


なんだ んっ


頭の中に鑑定という言葉が


選んで鑑定してみると


スライム と表示が


まさか 魔物なのか スライムって本当にいるんだ 魔王がいるなら魔物もいるのか


向かってくるスライムは一匹


スライムと言ったら ザコ中のザコだよね


よし 1匹なら


俺はスライムを素手で殴りつけた



「ぐわっ」


反撃を


くそぉ これでどうだ


さらに殴りつけるが


「ぐわっ」


今度こそ 今度こそ これでどうだ



はぁ はぁ 勝ったのか


俺の5回の攻撃でスライムは倒れて お金を落とした


これがこの世界のお金か 鑑定すると10エン



「大丈夫ですか」


村の中から出てきた男性が話しかけてきた


「えっ はい 何とか」


「もしかして 冒険者様でしょうか 魔物退治をして頂けるなら 空いている家をお貸ししますが もちろん食事も」


おっ いいのか そういえば


「すみません 俺はお金を持ってなくて」


「えっ お金の心配はいりませんよ」


そうなのか よ よかった


「よろしくお願いします」



俺は運よく 小さな家を借りることが出来た


家の中には特に何もなく 布が一枚だけ


でも ありがたい


それに食事まで 量も少しで美味しくはなかったが これで何とか生活出きる可能性が出てきた




食事は朝と夜の2回だけ 魔物退治をするなら いつまでいても構わないと言ってくれた


さらに 俺が装備を持ってないというと 鉄の剣と皮の鎧と皮の盾を貸してくれた


「冒険者様 昨日倒して頂いた魔物は買取させていただきました」


そう言って 50エンを渡してくれた


スライム1匹で50エンか 10エン落とすから 合わせて60エン この世界の物価はどうなんだろう


まあ とりあえず 魔物退治に行かないと


この村の近くにいる魔物はスライムと兎の魔物だけだと 兎の魔物は素早いので倒すのは難しいそうだ



「はあっ」


「やあっ」


これでどうだ


俺が鉄の剣を振り下ろすとスライムは倒れてお金を出した


よし 鉄の剣なら3回の攻撃で倒せる


1日で俺は4匹のスライムを倒すことが出来た


ふぅ 4匹が限界かな 村人達も感謝してくれてるし しばらく ここでお金をためよう しかし 1日240エン


まあ 食費も宿泊代も掛からないから問題はないけど


俺は村長さんから冒険者についての本を借してもらった




スライムを50匹倒せば 冒険者として1段階成長出来る 更に成長するには60匹を倒す必要がある


レベルアップのことだろうか スライムの経験値が1で レベル2は50 レベル3は110ってことかな


成長した時に魔法や必殺技を覚えることもあると書かれていた


両親が使える魔法や必殺技を覚える可能性が高いと書かれていた


とりあえず レベル2を目指すか


そういえば 俺の能力は何かあるのか 神からは貰えなかったが


……


鑑定は出来るが


んっ 俺自身にも出来るのか


おっ 俺のレベルは1 他には何もないようだけど そういえば アイテムボックスが使えるって言ってたような


俺は剣を持ち アイテムボックスと考えると 剣が消えてしまった


え~と 剣は あった


アイテムボックスと思えば 中に何が入っているのか分かるようだ


剣を選ぶと俺の手に剣が現われた


これは便利だ 他には …… 何もないのか





次の日 村の人達を鑑定すると 全員レベル1だった


まあ こんなものなのかな とりあえず 魔物退治に行かないと


1日4匹のスライムを そして13日目経ったが まだレベルは上がらなかった


次の日も さらに次の日も レベルは上がらない


まさか 俺のレベルは上がらないのだろうか


休みの日を決めているので魔物を倒さない日もあるが それでも50匹は確実に倒している それどころか100匹を超えているんだけど


……



俺は諦めかけていたのだが


この村に来てから 5ヶ月経った時


「はあっ」


んっ 何だ


スライムを倒すと 頭の中で何か声がしたような


もしかすると 俺は自分自身を鑑定してみた


おっ レベル2に 長かったけど レベルは上がるのか あの本が間違っていたんだな




次の日からは スライムを2回の攻撃で倒せるように そして1日に10匹を倒せるようになった


そして 2ヶ月後にはレベル3に








「冒険者様 お願いがあります」


「どうしましたか 俺に出来ることでしたら」


「明日は1月1日 新年です 新年のお祝いに兎の魔物を食べるのですが 魔物退治を手伝っていただけないでしょうか」


「いいですよ 何匹でしょうか」


「いえ 1匹だけです 兎の魔物は素早く1匹でも命がけでして」


そうなのかな 本によれば 素早いが囲んでしまえば 倒せると書いていた 村の皆で行くなら楽に倒せそうなんだけど


俺は1年でレベルが5になったし そろそろ スライム以外とも戦ってみたかった



森に入り 村人達に兎の魔物を取り囲んでもらい 俺が剣で戦う


確かに兎の魔物は素早かったが


「はあっ」


俺の2回の攻撃が当たると 倒れてお金を出した


1匹でいいと言っていたが みんなで分けると少ししか食べることが出来ないだろう


俺は村長にお願いして 兎の魔物狩りを手伝ってもらうことにした



「冒険者様 ありがとうございました まさか 5匹も倒せるなんて」


「いえ 手伝っていただいたからですよ 1人なら無理でしたよ」



兎の魔物は柔らかくて美味しかった これなら毎日でも食べたい


これまでの食事は酷い物だった 貧しい村人達から無料で貰っているので贅沢は言えないが


次の日からは兎の魔物を1匹倒すことにした


料理してもらうお礼に食べきれない肉は村の人に 兎の魔物の肉は1000エン 皮は2000エンになるそうだが


お世話になっているので 余った肉くらいはいいだろう




俺のレベルは上がっていき 2年目にはレベル11になっていた


兎の魔物も余裕で倒せるようになった


村の人達からは感謝されていたのだが


一つ疑問が


俺の年齢が15歳のままだった


まだ2年しか経っていないので 見た目が変わらなくても そんなにおかしくはない 村の人達からも何も言われていないが どうなっているのか


この世界の人達は鑑定魔法が使えないので 普通に生活するなら年齢がバレることはないだろうが


ここにずっと滞在するならいずれは 怪しまれる可能性も


……


2年間でレベル11に お金も250万以上になった そろそろ 他の場所に移動してもいいころなのかもしれない


街に入る時には 名前の確認と鑑定石という魔道具で年齢の確認をされるそうだ


街に入るのは危険があるかもしれないが村なら問題はない 村で魔物退治をしながらこの世界のことを学ぶ方がいいのか



俺は村長 そしてお世話になった村人達に礼を言って 村を後にした



装備は返したのだが お金があったので装備を売ってもらうことに


鉄の剣 10万エン 鉄の鎧 20万エン 鉄の盾 10万エン 鉄の兜 10万エン 合わせて50万エン


まあ お金はたっぷりあったので これくらい買っても問題ないだろう


兎の肉を使った料理もアイテムボックスに大量にあるし 冒険には困ることがないと思うが




しかし 野宿の道具は何もなかった


俺は村を探して泊めてもらうことに


俺が冒険者だと知った村長が村の周りで魔物退治をしてほしいとお願いしてきた ここでも空家を無料で貸してくれることに


ここの村の近くの森にはオークという魔物が住んでいた


2メートルくらいある2足歩行の魔物で恐ろしかったが 1対1なら 何とか倒すことが出来た


俺はオークを中心に退治することにした 理由は肉が食べられるからだ


オークの肉は豚肉のように美味しかった 臭みは少しあるが 食べるには問題はない


村人達は喜んで料理を毎日作ってくれた もちろん 余った肉は村人達に分けた




そして 俺がこの世界に転生してから4年目には俺のレベルは20になった



既に 強い魔物だと言われていたオークは俺の敵ではなくなった 俺にとっては弱い魔物



俺は強くなった 街に行って冒険者登録をしても問題ないだろう


この世界の戸籍はいい加減みたいだから 名前も自由に名乗っても問題なさそうだ


それなら 過去の英雄の名前 この世界の男性に一番多い名前のアデルにしよう


俺は アデル レベル20


そして 今年も15歳

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