第27話 あたしが犬ならガードごと

「先輩、雪ですよ!」


 窓の外に曇り空をチラチラ舞う雪を見て、あたしは興奮気味に窓際へと駆け寄った。


「……犬は喜び庭駆け回り」


 先輩がこちらを横目に見ながらボソリとこぼしたのを、あたしは耳聡く聞いている。


「誰が犬ですか?」


 ムッとして詰め寄ると先輩は驚いた顔をして、少し思案してからスッと手を出す。


「……お手」

「ワンッ!」


 咄嗟にお手をしてしまうと先輩が笑う。


「な?」


 あたしが犬ならガードごとペロペロしますよ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る