第28話 ガードの固い猫ですね

「あたしが犬なら先輩は猫ですか?」


 あたしを犬のように弄んだ先輩の手が離れていくのを名残惜しく見送りながら、そう話を続けてみた。


「コタツで丸くなるのは好きだぞ」

「じゃあ」


 両手を先輩に向かって広げる。


「なんだそれは」


 不審顔の先輩に「えっ、わからないんですか?」という顔で答える。


「コタツ」


 先輩はズレた眼鏡を直すと諭すように言った。


「……猫にもコタツを選ぶ権利はあると思うんだ」


 ちっ。ガードの固い猫ですね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る